消防士採用試験において、一番最初に受験する消防本部との接触があるのが、受験申込書の提出です。
インターン制度がある消防本部や受験希望者向けの説明会・見学会を実施している場合もありますが、あくまでも、受験予定者の状態であり、申込書の提出が初接触となるでしょう。
その申込書には、志望動機や自己PRを記載する場合があります。無い場合は、一次の筆記試験終了後に面接カードの提出を求められ、その中に志望動機や自己PRを記載することとなります。ここでは、それらを統一して受験申込書として取り扱いたいと思います。
書類審査こそないものの、今後何に使われるか分からないし、この書類をもって減点されたくないと思っている人は是非この記事を最後まで読み、申込書で損しないようにしましょう!
結論!
時間の無い人向けに結論です!
志望動機や自己PRに個性や独自性は必要ないです!
ネットや参考書に転がっている志望動機や自己PRの丸写しか、軽微な書き換えで十分です!
独自性や独創性を出すことによる期待値はマイナスです。加点される可能性よりも減点される可能性の方が高い!しかも、加点減点のコントロール性は極めて低く、面接官の能力により左右されるという運ゲーになってしまいます。
理想は、隣の部屋の受験生か、次に入室する受験生と同じ志望動機です。
受験申込書が使われる場面
受験申込書の志望動機や自己PRが使用される場面は下記のとおりです。
- 面接試験での質問・審査のため
- 採用後の配置先決定のため
ここでは、あくまでも消防士を目指している人の受験対策用に情報を提供しているので、上段の面接試験時に使われる場合を見てみましょう。
面接試験で使われる志望動機と自己PR
志望動機に「私の6歳上の兄は消防士として働いており、その姿を見て私も消防士になりたいと思うようになり、消防士として必要な身体作りを兄と共に実施してきました。私は地域の人に頼られ、感謝されるような消防士になりたいと思っています。」と記載したとしましょう。
ありきたりな内容ではありますが、悪くないです。
では面接官の気持ち・立場になって考えてみてください。
この書類を見て、受験生に質問する必要があるんです。
まずは「申込書にも記載してありますが、改めて志望動機を自分の言葉でお願いします」という質問が来ます。
記載した内容をそのまま読んでもいいですし、少々話し言葉に落とし込んで、内容を膨らませても大丈夫です。
そして次の質問に移るわけですが、
面接官の能力的に、口頭で初めて聞いた志望動機から次の質問を瞬時に作ることは出来ないので、書類上の志望動機を読み込み、事前に次の質問を用意しています。
関連質問
二つ目の質問は次の4つが予想されます。
- 「具体的にお兄さんのどういった姿を見て消防士になりたいと思ったのですか?」
- 「体作りとは具体的にどんなことをしたのですか?」
- 「頼りにされる消防士とはどんな人だと考えていますか?」
- 「感謝される消防士とはどんな人だと考えていますか?」
この中で難しい質問は下の2つですかね。
抽象的である「頼りにされる消防士」「感謝される消防士」を言語化することが非常に困難です。
どちらも相手の感情に依存している消防士であり、市民がどう感じるのかをコントロールする必要があります。
自分自身がどうなりたいかではなく、どう思われたいかということが目標になると言語化が難しいです。
具体例を示してみましょう。
「頼りにされる消防士とはどんな人だと考えていますか?」に対して
- 「市民の方から、私が近くの消防署にいることにより安心してもらえるような存在になることだと考えています。」
- 「火災などの災害以外のタイミングでも、市民の方が私のことを名指しで訪ねて来てくれるような存在であると考えています。」
論点がズレないように回答するのは困難ですね。
とはいっても、事前に2次3次質問の内容を想定できるので、対策はしやすいと思います。
独自性・独創性を出すとどうなるのか
また例を出しましょう。
会社の同僚・先輩家族・子供と一緒に公園でピクニックをすることになりました。食事会では各家庭から食事を持ち寄ることになりました。 あなたは、何を作って持っていきますか?どんな点に気を使いますか? 味付け?分量?アレルギー?ほかの人と被らないか? まぁ色々とあると思います。正解を見つけるのは難しいですね。 では、不正解はどうでしょうか? 鰻重、大量の生野菜、スパイシーなエスニック料理、聞いたことのない聞いたことのない料理、食用虫・・・etc これはダメだなってのは、いくつか分かりますね。 エッジを効かせて個性を出そうとして持ってきた食事は、大うけする可能性もありますが、大こけする可能性も高いですね。ギャンブルみたいなもんです。 個性を出せば出す程、うけた時の好印象度が高くなるのも、大こけする可能性の方が高いのも、肌感で分かると思います。
志望動機も同じです。
志望動機の内容を判断するのは人であり、そのものに絶対的な正解は無いのです。
であれば、不正解を書かなければいいんです。ギャンブルに出ても得られるポイントはたかが知れています。
模範解答
根詰めて志望動機や自己PRを考える時間があったら、読みやすい字で丁寧に書くことに時間を割きましょう。
そして二次質問や三次質問に矛盾なく回答できるように想定質問を準備しておきましょう。
いくつか模範解答を紹介しておきましょう。
志望動機
私の6歳上の兄は消防士として働いており、その姿を見て私も消防士になりたいと思うようになり、消防士として必要な身体作りを兄と共に実施してきました。私は地域の人に頼られ、感謝されるような消防士になりたいと思っています。
●●という大きな地震があった際に、消防士の方々が活躍する姿をテレビやインターネットの報道で数多く目にしました。人命救助のために危険を顧みず日夜活動する姿を見て、強い憧れを抱くと共に、私自身も人の役に立つ強い消防士になりたいと思うようになりました。入庁後は、理想の消防士になるために辛い訓練にも耐えて、一日もはやく近づきたいと思っています。
私が消防士を目指すきっかけとなったのは、友人と買い物中に、店内で老人が倒れているのを見かけたことがきっかけです。数分後に駆け付けた救急隊の隊員同士が連携して処置する姿と、冷静に心臓マッサージなどの処置をする姿をみて圧倒されました。そのときから、救急隊や消防隊への憧れが強くなりました。一人ではなく、チームで活動する消防は、学生時代に団体競技のキャプテンを務めた経験が役に立つと思っています。
基本は同じです。ネットで検索して出てくるものを適当に組み合わせて書いてください。
自分で考えて書かないことが模範解答です。
自己PR
私は中学校から大学まで10年間野球部に所属し、チームワークなどの大切さを学びました。 個人として試合に出たいという思いがあり毎日厳しい練習をしてきましたが、それ以上にチームとして勝ちたいという思いがあったため、ときには裏方に徹することも必要だと考えて、練習環境の整備や道具の整備を率先して行っていました。 野球部で学んだ、チームの目標達成のために裏方に徹することも必要であるという考えは、チームワークを重視する消防組織でも必ず役に立つと思います。
私は大学時代に所属していたバスケットボールのサークルで代表を務めて、リーダーシップを発揮してきました。サークルには150人を超えるの人が所属しており、練習場所・時間の確保や人間関係のトラブルが多発していましたが、不満を抱える部員の話を時間をかけてゆっくりと聞くように心がけていました。その結果、ほぼ全ての部員が仲良くなっていたと思います。 コミュニケーションがリーダーシップの基礎だと考えています。私のこの経験は、消防士になったあとも生かせるものと考えています。
こちらも、基本は同じです。ネットで検索して出てくるものを適当に組み合わせて書いてください。
自分で考えて書かないことが模範解答です。