はじめに
消防団についての基本的な情報についてはこちらの記事のトップをご覧ください。
そして、貰える金額は年間約13万円です!
計算の詳細については下記のとおりです。
そんな消防団員ですが、お金のために従事するような仕事ではない!って印象ですが、実際に年間どのていどのお金が貰えて、どのくらい忙しいのか調べてみましょう。
実在する市町村の消防団の金額を基準とし、年間の災害やイベントについては複数の消防団等を参考にして一般的な回数を算出しています。
基本額(年間報酬)
まずは年報酬で、基本的には最低限の訓練に参加する等の活動をすれば、下記金額を受け取ることができます。
階級 | 年報酬額 |
団長 | 82,500円 |
副団長 | 69,000円 |
分団長 | 50,500円 |
副分団長 | 45,500円 |
部長 | 37,000円 |
班長 | 37,000円 |
団員 | 36,500円 |
最も人数の多い【団員】の区分であるとすれば、3万6500円がもらえることとなります。
ただし、災害に出動したり、基本的な訓練や消防団車両の点検などに参加しない場合には、休眠団員などとして取り扱われ、支給されない場合もあります。
昨今では活動が無い又は少ない消防団員が年報酬を受け取ることについて、不正受給であるとして批判する風潮があるため、あらぬ疑いを受けないように、しっかりと訓練には参加しましょう。
出動手当
消防団の活動は、火災などの災害対応に限らず、花火大会や多数の出店が出るお祭りでの警戒や、基本的な技術を身につけるための訓練や資機材の点検もあります。
それぞれの活動について、無給、無報酬となるわけではなく、それらの活動に要した経費という名目等により一定額が支払われます。
基準額
それぞれの活動に対する基準額は下記のとおりで、年報酬のような階級別にはなっていません。
区分 | 支給基準 | 支給額 |
災害出動 | 1回(3時間未満の場合) | 2,900円 |
災害出動 | 1回(3時間以上の場合) | 4,300円 |
警戒出動 | 1回 | 2,300円 |
訓練等出動 | 1回 | 2,300円 |
上記金額の基準は、基本的に1回●●円となっているため、それぞれの回数を算出する必要があります。
訓練などの回数
警戒出動と訓練等出動の支給額が同じであることから、これら2つの回数は合算して算出したいと思います。
下記モデルスケジュールが基本となります。
4月 | 辞令交付 新人団員研修 |
5月 | 資機材取り扱い訓練① |
6月 | 資機材取り扱い訓練② |
7月 | 消防署消防団合同訓練 操法大会 |
8月 | 操法大会 夏祭り特別警戒 夏休みイベント特別警戒 |
9月 | 防災訓練 資機材取り扱い訓練③ 管轄危険物施設等視察 |
10月 | 操法大会(全国) |
11月 | 秋の火災予防運動 秋祭り等の特別警戒 |
12月 | 資機材取り扱い訓練④ 歳末特別警戒 |
1月 | 消防出初式 |
2月 | 消防署消防団合同訓練 |
3月 | 春の火災予防運動 |
上記だけで、年間20回の出動があり、20✖2,300=4万6千円となります。
これに加えて、防災訓練や消防出初式の事前訓練も発生します。火災予防運動も1週間あるため、最低でも2回は動員されることでしょう。
それらの回数を合わせて10回とすると、10✖2,300=2万3千円となります。
災害の対応件数
災害の対応については、意外と少ないようで、下記のとおりとします。
火事災害への対応が年に6回、それ以外の災害対応が年に3回あったとします。全部で9回の災害対応のうち、4件が3時間以上の案件であったとします。
5回 ✖ 2,900円 + 4回 ✖ 4,300円 = 3万1700円
その他のもらえるお金
旅費として、訓練や警戒等に出向く際に、公共交通機関を使用する必要があり、使用が認められた場合には、その分の費用は弁償されます。事前か事後かは市町村によって異なりますが、基本的には全額支払われます。
場合によっては、宿泊で遠方の研修に参加する場合もありますが、宿代等も市町村からすべて支払われます。
残念ながら退団するとなると、その際に退職報償金として退職金のようなものが支払われますが、今回の計算では、消防団を数年続ける仮定なので、この金額は計上しません。
合計金額と拘束時間
合計金額
- 年報酬が36,500円
- 訓練などの出動手当が69,000円
- 災害対応による出動手当が31,700円
合計で137,200円となります!
拘束時間
訓練などの拘束時間を1回あたり3時間、災害対応による拘束時間を2時間または5時間と仮定すると。
- 訓練などの対応で90時間
- 災害対応で 30時間
合計で120時間となります。
時給単価は1,150円くらいとなりました。
注目は拘束時間ではなく、日数だと思います。
7 ✖ 52 = 364 なので、1年間は約52週間あることになります。
完全週休二日で働いていたとして、52週間 ✖ 2日(週休) =104日 が休みとなるはずだった日です。この104日のうち30日程度が消防団の活動に使われることになります。
忙しい自営業の人で、週休1日であれば、52日のうち30日が消防団の活動に使われることになります。
活動日数についてはかなり少なめに出したつもりです。熱心な消防団であれば、週に1回は集まって資機材の取り扱いや走行訓練を行っているようですので、消防団活動稼働日はもっと増える可能性があります。
お金以外に貰えるもの
公務災害
消防団の活動により生じた怪我などについては、公務災害として認定され、医療費は全額公務災害管理機関が負担してくれます。万が一障害が残ってしまった場合でも、傷害のレベルに応じて保証されます。
準中型免許の取得補助
現行の普通免許では消防団が管理する消防車を運転できない場合が多くあるため、消防団に入団すると、準中型免許取得にかかる費用の一部または全部について、助成を受けられる可能性があります。
全国一律の制度ではないため、加入する消防団によって助成の内容は異なるようです。
マイカー共済制度
災害などで集合するにあたって、やむを得ず自家用車を使用する必要がある場合があります。その際の事故については、事前の手続きを踏んでおけば、車両保障その他対人対物保証を公費によって対応する制度のことです。
消防団員専用の保険に加入できる
死亡保障や個人年金といった消防団員専用の共済保険に加入することができます。
保険目的で消防団に入団するひとはいないと思うので、詳細は割愛しますが、ちかいうち消防団の保険についてまとめます。
まとめ
消防団活動の時給単価は居酒屋のアルバイト程度、休みの日の1/3~1/2程度を消防団活動のために使うことになります。
この条件では、金銭的なメリットを感じて入団している人は多くないと思います。それでも全国には80万人以上の消防団員がおり、地域防災のために日々尽力しています。
こんな状態にもかかわらず、報酬を増やせば消防団も増えるといった考えに至ってしまうような人たちがいるのは非常に残念なことですね。