東京消防庁Ⅲ類、受験者は4年でほぼ半減 採用予定人数は増加、倍率20.3倍→4.9倍の内実

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受験者数は4,678人から2,365人へ

東京消防庁の消防官Ⅲ類(高校卒業程度)採用試験は、2021年度に4,678人だった受験者数が、2022年度2,742人、2023年度2,594人、2024年度2,500人、2025年度2,365人と推移し、4年間でほぼ半減した。この間、倍率も2021年度の20.3倍から、2022年度6.4倍、2023年度8.3倍、2024年度6.6倍、2025年度4.9倍へと大きく低下している。倍率だけを見れば「入りやすくなった」という印象を持たれがちだが、その内実を募集人数と受験者数に分けて見ると、単純な「易化」とは言い切れない構図が浮かぶ。

募集予定人数はむしろ増加傾向

同じ期間の採用予定人数を見ると、2021年度220人、2022年度180人、2023年度180人、2024年度310人と推移しており、減少ではなくむしろ増加傾向にある。2026年度(令和8年度)のⅢ類採用予定人数も、1回目250人・2回目60人の合計310人と、2024年度と同水準の高い枠を維持している。つまり、この5年間の倍率低下は「募集枠が絞られた」ことによるものではなく、募集人数を横ばいから増加基調で維持したまま、受験者数の側が先細りしたことによって生じている。倍率の分母(採用予定人数)ではなく分子(受験者数)が縮んだ形であり、消防本部側が採用意欲を落としているわけではないことがうかがえる。

大卒程度(Ⅰ類)でも進む同時並行の変化

大学卒業程度のⅠ類区分でも、受験者数は2021年度2,835人、2022年度4,608人、2023年度3,727人、2024年度4,158人、2025年度3,708人と、年度によるばらつきはあるものの、ピーク時の2022年度から2025年度にかけては減少している。倍率も2021年度7.2倍から2025年度4.6倍へと低下した。2026年度(令和8年度)のⅠ類1回目試験では、教養試験方式が応募2,680人・一次受験者2,380人・最終合格者464人で倍率5.1倍、適性検査方式は一次受験者722人・最終合格者131人で倍率5.5倍という結果になっている。Ⅲ類ほど急激な半減ではないものの、大卒程度の区分でも受験者数の伸び悩みが倍率低下の背景にあるとみられる点は共通している。

現在も選考が進む2026年度Ⅲ類試験

2026年度のⅢ類1回目試験は、申込期間が7月2日から31日、第一次試験が9月6日に札幌・仙台・東京・大阪・福岡・鹿児島の6会場で実施され、最終合格発表は11月17日に予定されている。2回目試験は11月18日から12月2日の申込期間を経て、令和9年1月10日に東京で第一次試験が行われる日程だ。本稿執筆時点ではまだ最終結果が公表されていないため、2026年度のⅢ類受験者数・倍率がこれまでの下げ止まりを示すのか、あるいはさらに減少するのかは、11月の発表を待つ必要がある。

応募者数の先細りをどう見るか

以上の事実から言えるのは、東京消防庁のⅢ類試験における倍率低下は、募集枠の縮小によるものではなく、受験者数そのものの減少によって引き起こされている可能性が高いということである。全国的に生産年齢人口が減少し、公務員試験全般で受験者確保が課題になっている中、消防官という職種も例外ではないと見られる。特に高校卒業程度の区分は、大学進学率の上昇や民間企業の採用意欲の高まりとも競合しやすく、応募者数の確保が今後さらに難しくなるという指摘もある。一方で、倍率の低下は受験者にとって挑戦しやすい状況が生まれているとも言え、必ずしも否定的にのみ捉えるべき変化ではない。ただし、応募者の母数が細れば、結果として採用される人材の多様性や質を維持する難易度が上がるという懸念も否定できず、東京消防庁に限らず各地の消防本部にとって、採用広報のあり方を見直す契機になっているという見方もできるだろう。