消防組織内でのハラスメント事案が続発
2025年2月16日、総務省消防庁が発表した調査結果によれば、2023年度に全国の消防本部や消防署で少なくとも176件のハラスメント行為が報告され、206人が懲戒処分を受けたことが明らかになった。 この調査は初めて実施されたものであり、消防組織内でのハラスメントが深刻な問題として浮き彫りになった。
組織的隠蔽と再発防止策の形骸化
滋賀県甲賀市の広域行政組合消防本部では、ワクチン未接種の職員に対する差別的な扱いが問題視された。2021年、ワクチン未接種の職員が廊下の会議スペースで一人で働くことを強いられ、結果的に退職に追い込まれた事例が報告されている。 さらに、ハラスメントの再発防止策として実施された研修の担当者が、過去にハラスメント行為を行ったとされる幹部職員であったことが明らかになり、組織的な隠蔽体質と再発防止策の形骸化が指摘されている。
被害者の声と組織の対応の乖離
被害者からは、「組織内でのハラスメントを訴えても、適切な対応がなされない」「上層部が問題を隠蔽しようとする姿勢がある」といった声が上がっている。これに対し、消防庁は再発防止策を講じると発表しているが、具体的な効果は未だ見られず、組織の対応と被害者の声との間には大きな乖離が存在する。
これらの事例から、消防組織内でのハラスメント問題は、単なる個々の問題ではなく、組織全体の体質や文化に根ざした深刻な課題であることが明らかとなった。市民の安全を守るべき組織が、内部でこのような問題を抱えていることは、組織の信頼性を大きく損なうものであり、厳しい批判に値する。