よく見る階級一覧表
消防の階級 | 警察の階級 |
消防総監 | 警視総監 |
消防司監 | 警視監 |
消防正監 | 警視長 |
消防監 | 警視正 |
消防司令長 | 警視 |
消防司令 | 警部 |
消防司令補 | 警部補 |
消防士長 | 巡査部長 |
消防副士長 | 巡査長 |
消防士 | 巡査 |
役職で階級を比較する
消防は市町村単位での運営が原則であるのに対して、警察は都道府県単位での運営となっています。
また、小規模な市町村で運営されている消防本部には階級の取り扱いの例外規定がありますが、それらを含むと比較にならないので今回は除外するものとします。
消防署長・警察署長
消防署が約1700か所であるのに対して、警察署は約1150か所となっています。建物の数だけ比較してもイメージが湧きにくいと思います。
高校の校長先生の人数と保育園の園長先生の人数を比較しても意味ないですからね。
消防士の人数が16万5千人であるのに対して、警察官は約25万7千人となっています。
単純に割り算をして署ごとの人数を計算してみます。
消防 | 警察 | |
署の数 | 1700か所 | 1150か所 |
職員数 | 165,000人 | 257,000人 |
署ごとの人数 | 約97人 | 約224人 |
これらを整理ると、消防署長は約97人に1人いるのに対して、警察署長は224人に1人しかいない計算になります。
抱える部下の人数を考慮すると、警察署長の方が偉いように見えますね。抱える部下の人数に比例して責任も増えていくので、警察署長と警察署長では明らかに警察署長の方が責任が重くなっていますね。同じ署長が並んでも、警察署長の方がちょっと偉いって感じですかね。
単純に署の数も違いますから、管轄するエリアの面積や人数だけ見ても、警察署の方が広く担当しているのが分かります。
下の表の青字にしたところが署長の階級として使用されているものです。
消防の階級 | 警察の階級 |
消防総監 | 警視総監 |
消防司監 | 警視監 |
消防正監 | 警視長 |
消防監 | 警視正 |
消防司令長 | 警視 |
消防司令 | 警部 |
消防司令補 | 警部補 |
消防士長 | 巡査部長 |
消防副士長 | 巡査長 |
消防士 | 巡査 |
消防署長の方が役割に対する責任が軽いにも関わらず、割り振られている階級が高いものになっていますね。
警察消防で階級の認識が違う
そもそも採用が違う
消防士・消防吏員として勤務している人はすべて地方公務員です。国家公務員採用の消防士・消防吏員・消防官は基本的に存在しません。
それに対して警察官として勤務している人多くが地方公務員ではありますが、国家公務員も多く含まれています。
地方公務員
都道府県や特別区、市町村を単位として採用された公務員のことであり、勤務地は原則採用地域内となります。
国家公務員
国家公務員試験に合格し、省庁ごと採用されて公務員のことであり、国家公務員として採用された職員は中央省庁等での勤務だけでなく、定期的に地方自治体に出向して勤務することがあります。
その際には賃金は地方自治体が負担するとともに、非常に高いポストに張り付く場合が多いです。
地方公務員として採用された場合、課長級になるのが50歳前後であるにも関わらず、国家公務員が地方自治体に出向した場合、30代前半で課長職に張り付くこともあります。
採用区分ごとに階級の天井がある
警察には国家公務員か地方公務員か、大学院卒or大卒採用か高卒採用かによって、階級の上限が設定されています。
大学院卒or大卒での国家公務員については天井はなく、可能性として警視総監まであります。そのため、階級の上位層の多くは国家公務員が占めており、消防署長をはじめ警察本部長などの要所は国家公務員が固めている場合がほとんどです。
高卒採用の地方公務員は警視が事実上の上限となっています。採用直後から退職までの期間、積極的に精力的に昇任試験を受験し、実績・功績ともに優れている場合には警視正まで可能性が無くはないようですが、ほぼ例がないようです。
これに対して消防には国家公務員がいないため、その点において上位階級を国家公務委員が占領してしまうなどといったケースは生じません。
そのため、高卒採用の地方公務員であっても、消防司監といった階級を目指すことも容易です。
詳細な統計データはありませんが、消防司監の半数は高卒のイメージですね。
比較の意味がない
消防の階級において消防司令長は、高卒大卒に関わらず、ほぼすべての職員が到達することの出来る階級となっています。
昇任試験を厳しく実施している消防本部である場合には、稀に低い階級のまま退職していく人もいますが、年齢要件や在級年数要件を別途設けており、昇任試験を一切受けずとも消防司令補程度の階級までは自動昇格する消防本部もあります。
年功序列が悪と言われていますが、高年齢の職員が低階級で居座られることによる弊害もあるため、自動昇給制度を設けているようです。
それに対して、警察の階級制度において、警視まで上がっていくのは誰でも到達できることではありません。なんせ、警察署長クラスですからね。
どうしても比べたがりの比較君であれば、消防司令長と警部が同列と考えた方がよさそうです。
消防の階級の方が警察の階級よりも低い位置にあるということですね。
まとめ
国家公務員が消防本部に配属されない理由はなにかあるのでしょうか?
警察組織は消防組織よりも、全国で統一的な能力が求められています。こっちの県では犯罪だけど、こっちの県では犯罪にならないなんてことは許されませんから。こういったことがあれば、大きな問題となるでしょう。
これに対して、消防組織は市町村や都道府県単位での差が大きくあります。こっちの県では助けられるけれど、こっちの県では助けられないといった事故事案は存在します。しかし、こういったことがあっても大きな問題になることはありません。人命救助の結果について比較することは、人道的に反すると考えられているからですね。
この程度の組織なのであれば、国家公務員が介入して組織の秩序を維持する必要もないということなのでしょう。