筆者は、10年を超えるの消防士としてのキャリアがあり、その多く期間を人事等の業務を担当していました。元消防士を語る人は世の中に多数いますが、そのほぼ全ての人は、現場の消防士を数年で辞めた人たちです。私のように、人事などの消防の基幹事務を経験している元消防士は殆どいません。
その点から、他の消防士採用試験突破方法を語る記事とは一線を画すと思っています。
随時個別相談も受け付けていますので、良質な情報をキャッチし、消防士採用試験合格を目指してください。
論文試験対策は絶対必要
消防士採用試験の一般的な内訳は以下のとおりです。
- マーク式による筆記試験
- 体力試験
- 面接試験
- 論文試験
この中で最も差が付きやすいのが、筆記試験であることは分かりやすいと思いますが、次に差が付きやすいのは論文試験です。
体力試験と面接試験では、ほとんど差が付きません。
筆記試験と論文試験の採点は、試験問題作成企業等が委託を受けて作成・採点しているのに対して、体力試験と面接試験は現役の消防士が採点する場合がほとんどです。
現役消防士は問題を作る専門家でもないし、人を判断するプロでもありませんので、はっきり言って、体力試験と面接試験は採点基準が曖昧で、ざるです。最低限の基準はあるものの、気に入られれば合格点を取ることは余裕です。ただ、差が付かないんですよね。
だからこそ、筆記試験や論文試験で点数をとっておいて、他の受験生と差をつけてしまうことが簡単に合格するポイントです。
筆記試験よりも、論文試験の方が対策が容易で、高得点を獲得することができますので、対策を疎かにするのはオススメしないですね。
論文対策の方法
「論文のテーマが分からないから対策のしようがない」
「論文は運だ!特異なテーマ来い!」
「救命士の学校に通っていたため、消防の知識は他の受験生には負けない!」
こんな考え方の人はダメです。
なぜダメか。
論文を採点するのは誰ですか?
消防関係者ではないんですよ?
論文は知識を披露する場ではありませんし、自分の考えを披露する場でもありません。
そういうことがしたければ、勝手にやっていてください。
書きたいことを書くのではなく、減点されない内容を減点されない方法で記載すればいいんです。
加点は狙わない
「差をつけるって言っていたのに、加点は狙わなくていいんですか?」
差をつけるためには加点を狙う必要がある となるのはどういった場合ですか?
分かりますか?
- 配点の割合が「筆記:論文:体力:面接 = 1:1:1:1」の試験
- 配点の割合が「筆記:論文:体力:面接 = 1:2:1:2」の試験
- 配点の割合が「筆記:論文:体力:面接 = 2:1:2:1」の試験
- 平均点が80点で、70~90点の範囲に受験者の90%がいて、70点未満と90点超にそれぞれ5%の受験生がいる論文試験
- 平均点が70点で、60~80点の範囲に受験者の80%がいて、60点未満と80点超にそれぞれ10%の受験生がいる論文試験
- 平均点が60点で、50~70点の範囲に受験者の70%がいて、50点未満と70点超にそれぞれ15%の受験生がいる論文試験
上の1~4のうちどれでしょう?
真剣に考えてください。これが分かれば、チャンス有です。
論理的思考力があるかどうかの試験だと思って真剣に考えてください。
これが解ければ、論文試験どころか、筆記試験も高得点狙えると思います。
答えが決まったら下に進んでください。
正解は ひとつです。複数回答ではありません。
1~3にひとつ、4~6にひとつと考えた人は不正解です。
1~6のなかに正解はひとつだけです。
もう一度、よく考えてください。
どうですか?
答えの前に、採用面接裏話をひとつ。 その日、筆者は消防士採用面接の進行役をやっていました。 具体的には、次の受験生を部屋まで案内したり、受験生に見えない位置に隠れて、面接官の質問する者が交替するタイミングのキュー出しをしたり、全体の時間管理をしたり、質問回答以外の部分での服装態度等の確認をやっていました。 面接官をやっている消防士の普段のダメ上司っぷりも十分に知っている身としては、受験生よりも面接官の方が緊張していて、意味不明な質問をしたり、自分自身で何しゃべっているか分からなくなったりしちゃってるんです。 個人的には、そっちの方が不合格だろうと思うのですが・・。縦社会には抗えません。 そんな中で、一人気になる受験生がいました。 質問に対する受け答えは、準備十分という感じで、大きな減点はないかな?といった感じでした。 「運動部の部長をやっていて、仲間と協力して苦労を乗り越えられた」とか「全国大会出場時など、プレッシャーのかかる場面でも、緊張することなく、落ち着いてプレーできるのは自分の長所であると考えている」なんて言ってましたね。 ただね、普段ダメ上司の質問者たちは、自分が間抜けな質問をしないことに必死だから、受験生の微妙な表情や態度の変化に気が付かないんですよ。 その受験生は、極度の緊張からなのか、首筋や手の甲あたりに蕁麻疹が出てましたね。声の震えもありました。もちろん、面接官の連中は気が付いていませんでしたね。 一生懸命対策をして、消防士採用試験に臨んでいる受験生の顔もろくに見られないような面接官にあたってしまって不幸ですね。という話ではなく、そういう面接官しかいないって話です。 ちなみに、この受験生は最終不合格になりましたね。 筆記と論文の点数が足りなかったみたいです。面接には進めたけれど、逆転は起こらずってことですね。
それではそろそろ正解です。
- 配点の割合が「筆記:論文:体力:面接 = 1:1:1:1」の試験
- 配点の割合が「筆記:論文:体力:面接 = 1:2:1:2」の試験
- 配点の割合が「筆記:論文:体力:面接 = 2:1:2:1」の試験
- 平均点が80点で、70~90点の範囲に受験者の90%がいて、70点未満と90点超にそれぞれ5%の受験生がいる論文試験
- 平均点が70点で、60~80点の範囲に受験者の80%がいて、60点未満と80点超にそれぞれ10%の受験生がいる論文試験
- 平均点が60点で、50~70点の範囲に受験者の70%がいて、50点未満と70点超にそれぞれ15%の受験生がいる論文試験
正解は6ですね。
先に記載した通り、筆記試験や論文試験は、試験のプロが作っています。そのため平均点は60点前後になるように作られています。
過去の実績から、受験者の学力は分かっているので、その人たちが解いて、平均店が60点前後になるように問題を設定しているんです。
前半の1~3については、関係ないですね。論文のウエイトが高くても低くても、差が付くという点においては同じことです。
採点者が異なるという点に注目をして、(筆記+論文)と(体力+面接)の配点割合に注目することは出来なくは無いですが、今回の選択肢ではそれらも同じなので、関係ないですね。
ではどうして6なのでしょうか?
論文対策が重要である理由
点数ではなく、順位に注目してみましょう。
仮に、「筆記試験」「論文試験」「体力試験」「面接試験」と進んでいくものとしましょう。
それぞれ、100人→70人→50人→30人→10人(最終合格)といった具合に受験者が減らされていくものとします。
100人が筆記試験をうけ、30人が不合格
残りの70人が論文試験を受け、20人が不合格
さらに残りの50人が体力試験を受け、20人が不合格
さらにさらに残った30人が面接試験を受け、20人が不合格
最後に残った10人が合格といった具合です。
このパターンでは筆記試験終了時に1位から100位まで順位が付いています。そのうち下位30人が不合格になります。
そこに論文試験の結果を加算して、筆記試験と論文試験を合わせた点数により、再度1位から70位まで順位を付け、下位20人が不合格となります。
この段階まで残っている人の、筆記試験と論文試験を合わせた平均点は約130点で、180点から110点くらいまで散っています。
ここで、数人の受験生を例にしましょう。
Aさん 現在1位 合計180点
Bさん 現在20位 合計140点
Cさん 現在30位 合計120点
Dさん 現在50位 合計100点
50人が体力試験を受けて、20人が不合格になります。このままでは、Dさんは不合格です。
ひとつのパターンとしては、最低でも、Cさんと20点以上の差をつけて上位に食い込む必要があります。
しかしながら、体力試験は、試験のプロではない消防士が採点しているんです。
平均点に対してバラつきが発生しないんです。
簡単に言うと、平均点が60点で、55点から65点の間に95%の受験生が入るってことです。
消防本部によっては、平均点が90点で、85点から95点の間に95%の受験生が入っている場合もあります。
プロはそんな試験を行いません。平均点に対して、しっかりと受験者の点数がばらつくように試験を作っていますから。平均点60点で、40点から80点のあいだに60~70%の受験者が入るような感じですね。
もうDさんには逆転の機会は無いんです。
面接試験も同じです。体力試験を突破したCさんも、面接で不合格となる未来が確定していると言っていいでしょう。
筆記と論文で、どれだけ点数を確保しておくかで合否が決まるんです。
となれば、論文対策をしない理由はないですね。
論文対策も受付中です。
お問い合わせフォームからどうぞ。