【祝合格!】消防士の中途採用の実情【面接対策?】

採用試験

見事に消防士の採用試験に合格した人や、面接試験まで進むことが出来た人について、こんな質問をされる場合があります。

「もしも、10月(来年の1月)から勤務してほしいとお願いをしたら来ていただけますか?」

「4月採用予定者の試験ですが、10月(来年の1月)から勤務することはできますか?」

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中途採用の目的

 公務員の人員管理は条例などに基づいて、厳格に管理されています。当然、人員管理は人件費などの予算とも紐づけられているため、急な増員や減員は、人件費の不足や過剰な予算余りが発生してしまうこととなるため、厳格な管理が求められています。

 余りは問題ないのでは?と思うかも知れませんが、限られた予算の分配により予算編成されているため、人件費として計上された予算額は他の事業に使うことはできません。予算編成時に、他の事業、例えば救急資機材の更新を見送ったりなどしたことにより、人件費に計上した経緯がある場合もあります。

 中途採用が発生する理由はいくつかありますが、ほとんどの場合「予定していなかった退職者が発生したため」です。

 予定していなかった退職者とは、不祥事による免職、定年退職者以外の退職、事故等による死亡退職があります。

不祥事による免職(退職)

 日常的に消防士による不祥事に関するニュースが報道されていますが、その中には懲戒処分による免職の場合や、依願退職による退職があります。

 職員による不祥事は、事件の発生から処分の決定まである程度の時間がかかるため、準備が出来る場合も多いですが、あくまでも手続き上の準備だけで、人員的な準備は間に合わない場合が多くなります。

 急な退職により勤務に穴が開くため、早急に補充をしなければ、部隊運用に支障が生じることとなってしまいます。

定年退職者以外の退職

 定年退職者であれば、完全に計画的に管理をすることが出来ますが、中途退職者については人数を管理することが不可能です。

 離職率が非常に低い消防士の組織として、毎年何パーセント程度の定年以外の退職者を見込むかは非常に難しいものです。0%から2%程度と非常に低い水準ではありますが、組織の規模が数百人程度であることを考えると、一人一人の重要度が高くなっています。

 ましてや昨今の転職ブームや、公務員の安定性が揺らいでいる状況から、定年以外の退職者も増加傾向にあります。

事故等による死亡退職

 現場での公務災害による死亡の場合や、プライベートの交通事故による死亡、仕事上のストレス等による自殺、持病の悪化による死亡など、死亡退職の理由は様々です。

 特に死亡退職の場合には、退職する人が高年齢である場合が多いです。小隊長や分隊長、中隊長など、ある程度の役職が割り振られているため、欠員を埋めるのも手間がかかります。

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中途採用と4月採用ではどちらがいいのか

中途採用のメリット

  • 同じ試験を受けた人よりも数か月先に給料がもらえる
  • 1日先でも先輩は先輩(神様)
  • 同期が少人数であるため、仲間意識が芽生えやすい
  • 生涯賃金が数か月分増える

中途採用のデメリット

  • 同期が少なくなり、寂しく感じる場合もある
  • 個人装備品の一部は次の4月採用者と同じタイミングで貸与される
  • 欠員補充が目的のため、すぐに消防学校に入校できない場合もある
  • 欠員補充であるため適切な配置にならない場合がある
  • 4月採用と比較して適切な教育訓練計画がない場合がある

まとめ

 現在無職又は収入が極端に少ない場合には、中途採用は十分にメリットがあると思います。

 一人でも後輩が多い方がいい、先輩面したい!と考えている人にもメリットがあります。

 個人装備品の一部は発注から納品まで数カ月かかるものもあることと、年度を跨ぐ発注は予算執行上の制限がかかっているため、中途採用分は保留となり、次の4月採用者と合わせて調達することとなります。

 基本的には年功序列が根強い組織ではありますが、数か月程度の差であれば10~15年程度かけて逆転することは不可能ではありません。そのため、生涯賃金という意味ではあまり意味がないと言えます。

 

 なによりも欠員補充であるため適正な教育訓練計画がない場合があるというデメリットが大きすぎます。

 三つ子の魂百までのように、消防士における最初の3年は重要です。たった数ヶ月の給料に目がくらみ長期的な損を取ってしまう場合があります。

 

 その時点において金銭的な問題が無いのであれば、中途採用を受け入れるメリットはほぼ有りません。継続してアルバイトを続けるとかした方がメリットが多いと言えるでしょう。

 中途採用の提案を断ってしまったとしても、その時点で試験の合格は結果として出ているため、デメリットはありません。