加古川市消防職員採用、申込者は146人から84人へ 募集は「12名程度」のまま、倍率7.8倍→4.7倍の内訳

スポンサーリンク

令和3年度の146人から令和7年度は84人へ、申込者が4割減

加古川市消防本部の消防職員採用試験で、令和3年度に146人だった申込者数は、令和7年度に84人となった。5年間で62人、率にして約42%の減少にあたる。一方、募集人数は令和2年度から令和6年度まで一貫して「12名程度」で、令和7年度は「13名程度」とわずかに増えただけである。加古川市が公式サイトで公開している実績表をもとに、倍率低下の中身が「応募者離れ」なのか「募集枠の変化」なのかを整理する。

公式実績表が示す6年間の数字

同市の実績表は、大学卒・短大/高専/専門学校卒・高等学校卒をまとめた1つの区分として、年度ごとの数字を掲載している。倍率は「1次試験の受験者数を最終の合格者数で割ったもの」と明記されている。

| 年度 | 募集人数 | 申込者数 | 1次受験者数 | 1次合格者数 | 最終合格者数 | 倍率 | |—|—|—|—|—|—|—| | 令和2年度 | 12名程度 | 109 | 90 | 27 | 14 | 6.4 | | 令和3年度 | 12名程度 | 146 | 94 | 28 | 12 | 7.8 | | 令和4年度 | 12名程度 | 131 | 84 | 30 | 12 | 7.0 | | 令和5年度 | 12名程度 | 93 | 70 | 28 | 12 | 5.8 | | 令和6年度 | 12名程度 | 100 | 68 | 28 | 12 | 5.7 | | 令和7年度 | 13名程度 | 84 | 61 | 30 | 13 | 4.7 |

倍率が最も高かったのは令和3年度の7.8倍で、最も低いのは令和7年度の4.7倍である。ピークから3.1ポイント下がった計算になる。

倍率低下の主因は「分母」の縮小

倍率は「1次受験者数÷最終合格者数」で求められるため、変化の要因は受験者数と最終合格者数のどちらかに絞られる。最終合格者数は令和3年度から令和6年度まで12人で固定され、令和7年度も13人と1人増えたにとどまる。1次合格者数も27〜30人の範囲で推移しており、選考の「出口側」はほぼ動いていない。

これに対し、1次試験の受験者数は令和3年度の94人から令和7年度の61人へと33人(約35%)減っている。つまり、倍率低下は募集枠の拡大によるものではなく、ほぼ受験者数の減少によるものと読み取れる。令和7年度に募集が1人増えた影響は、倍率で見ればおよそ0.4ポイント分にすぎない(61÷12で約5.1、61÷13で約4.7)。

申込者のうち実際に受験した割合

申込者数に対する1次受験者数の割合(受験率)も算出できる。令和2年度は約83%(90÷109)、令和3年度は約64%(94÷146)、令和4年度は約64%(84÷131)、令和5年度は約75%(70÷93)、令和6年度は約68%(68÷100)、令和7年度は約73%(61÷84)となる。

申込者が多かった令和3年度と令和4年度は、受験率が64%前後にとどまった。申込者が多い年ほど、併願などを理由に受験しない人が一定数出ている可能性がある。ただし、公式の実績表に欠席理由は示されておらず、こうした背景は推測の域を出ない。受験率が持ち直した令和5年度以降は、申込者数そのものが減っているため、受験者の絶対数は減少傾向が続いている。

論評:倍率の数字だけで「受かりやすくなった」とは言いにくい

倍率が7.8倍から4.7倍に下がったことだけを見ると、受験しやすくなったように映る。ただ、1次合格者数が28〜30人で変わっていない点は見逃せない。1次試験の通過者数が一定である以上、1次試験の通過率は、令和3年度の約30%(28÷94)から令和7年度の約49%(30÷61)へと上がっている。一方、最終的に12〜13人に絞る構造は変わっておらず、1次合格者に対する最終合格率は令和3年度の約43%(12÷28)、令和7年度の約43%(13÷30)と、ほぼ同水準である。

見方を変えれば、競争の重心が1次試験から、2次以降の面接などの人物評価に移りつつあると見られる。2次以降の選考内容は実績表からは分からないものの、応募者が減るなかでも最終段階で選ばれる人数が変わらない以上、受験者にとっては筆記対策だけでなく人物面の準備の比重が相対的に高まる可能性がある。

また、自治体側から見れば、募集人数を維持したまま応募者が減る状況は、必要な人数を確保しつつ質を保った採用を続けるうえでの課題になり得るという指摘もできる。今後の倍率が下げ止まるかどうかは、令和8年度以降の申込者数の動向が一つの目安になるだろう。

他本部と比べる際に押さえておきたい視点

倍率は自治体ごとに算出方法が異なる。加古川市のように「1次受験者÷最終合格者」で示す自治体もあれば、申込者数を分子にする自治体もある。他の消防本部と比較する際は、定義をそろえて確認する必要がある。

また、「12名程度」「13名程度」という募集人数はあくまで目安であり、実績表でも最終合格者数は募集人数と同数か、令和2年度のように上回る水準で推移している。申込者数が減少傾向にあるとはいえ、毎年一定数が1次試験を通過しながら最終合格に至らない構造は続いている。最新の募集要項と実績表を確認し、定義と区分を踏まえて数字を読み取ることが重要である。