福岡県糸島市消防本部で2017年、同僚へのパワハラを理由に懲戒免職とされた処分を不服として、元消防司令補の男性(49)が処分取り消しを求めた訴訟の判決で、福岡地裁は29日、処分を取り消した。同様に、分限免職や停職となり提訴していた2人についても、処分を取り消した。
小野寺優子裁判長は判決理由で、パワハラを認定した上で「処分は重過ぎ、妥当性を欠く」と指摘。慰謝料として、市に100万円の損害賠償も命じた。
判決は、分限免職だった元消防司令の男性、停職6カ月だった男性職員に関しても「処分は裁量権の範囲を超える」と判断した。
引用元:熊本日日新聞
当時のパワハラの概要
暴言、しごき、侮辱、無視などのパワハラ行為を行っていた。
具体的には、「若手を理不尽で支配する」といった暴言、勤務中に動けなくなるまで筋トレや訓練を繰り返し実施させるしごき、「俺の息子のほうが頭がいいぜ。お前みたいなできん奴は、とことん理不尽で殺すけんな。」という侮辱、気に入らない職員と長期間に渡って挨拶などをしないといった無視などという行為をしていたようです。
これ以外にも、勤務中の喫煙行為が職務専念義務違反に当たる。サービス残業の強要行為があった。といった事柄も処分の要因となっていたようです。
パワハラは確かに断罪されるべき事柄であり、厳しい処分が必要であることは間違いないです。この点はぶれてないです。
パワハラで免職処分は重過ぎるのか
どの消防本部であっても、懲戒処分の指針という基準を設けており、パワーハラスメントを行った者については免職、停職、減給、戒告のいずれかの処分が適応されることとなっています。
処分の重さの違いについては、被害者が被った被害の状況・1度目か2度目以降かなどの状況を総合的にを勘案して決定することとなっています。
つまり、初回のパワハラであって被害者はストレスを感じていなかった場合は戒告などの軽い処分になるのでしょう。
被害者不在のパワハラもあるので、こちらの記事を参考にしてください。
最も処分が重くなるのは、再三の懲戒処分があったにも関わらずパワハラ行為を繰り返した結果、被害を受けた職員が当該パワハラ被害が原因で精神疾患となり、明確な遺書を残して自殺した場合でしょう。この場合は、免職となる可能性が高いですね。
でも、そんな人いないですよね。
そんな人って、純粋な悪であって、子供向けのヒーロー番組に出てくる悪者みたいな怪人くらいなもんですよ。
再三の懲戒処分を経過するなかで、「次にパワハラがあった場合には、高い確率で免職処分となる。すごしでも誤解が生じるような行動は厳に慎むように!再発防止のために顛末書と被害者への謝罪文の提出するように。また、異動を発令する。新しい所属で心を入れ替えて勤務するように。」といった指導が入るはずですし、そういう指導があるべきだと考えます。
そういった指導があったにも関わらず再度パワハラ行為をする人が万が一いるとすれば、間違いなくADHDとかの発達上の問題があって、その他の業務にも支障が生じているはずなので、そういった面での指導や分限処分があるはずです。
パワハラは突然発生しない
パワハラの加害者は今回で言うと当時45歳です。大卒で働いていたとしても20年以上勤務していたこととなります。
ある日突然暴言、しごき、などの行為が始まったのではなく、徐々にエスカレートしていった結果、パワハラのラインを超えていったこととなるはずです。
多くの人には理解できることかと思いますが、パワハラの線引きは非常に曖昧です。加害者側の発言や指導の目的と被害者側の受け取り方に大きく依存することとなってしまいます。
誤解している人のために一応書きますが、曖昧な部分が存在するとはいっても、確実にパワハラとなるラインが存在しないわけではありません。職務上の立場を利用して暴力を振るった場合には、傷害罪や暴行罪でありパワハラでもあるわけですから。
なぜ消防本部は、ことが大きくなるまでパワハラ行為を止めなかったのでしょうか。
懲戒免職は消防広報
消防本部の総務や人事で勤務している人の多くは、懲戒処分を消防広報だと認識しているか、暗に認識しています。
懲戒処分はルールを破った職員に対して厳しく対応した記録でもあるため、「わたしたちの消防本部は悪を許さない正義の味方です!学生のみなさん、安心してわたしたちの消防本部を選んでください!」というアピールに繋がるって考えているわけです。
そのため、懲戒処分の結果について報道発表した結果を民放やHNKで取り上げられると、総務や人事は大喜びで歓喜していたりしています。わたしが勤務していた消防本部では酷い盛り上がりっぷりで、彼らの人格を疑いましたね。
できるだけセンセーショナルなストーリーで重い処分を発令することが目標です。
消防本部としては、パワハラの撲滅や職場の正常化なんで何の興味もないんですよ。
もしもパワハラの撲滅や職場の正常化が目的なのであれば、20年の間に無限に対応方法があったはずですからね。そういったことを一切してこなかった結果がこれです。
懲戒免職取消について
懲戒免職が重すぎるとなったのは、上記のような理由があるわけです。
改めて整理すると、職員の行為に関わらず、「パワハラで免職という処分を発令すれば良い広報になる」と考えて、無能な本部の職員たちがアピールのために懲戒免職を発令したってことです。
まとめ
消防本部で発令される懲戒処分の多くは、基準が曖昧であって、時の消防長や総務課長、人事課長の能力や気分・好き嫌いによって、懲戒免職となる場合もあれば処分そのものが無い場合もあります。もっとひどい場合だと、処分どころか加害者が昇格する場合もあります。
その異常さにより利益を享受している人が多数を占めているが故に、こういった不適切な運用が無くならないのです。
自分が異常側なのか、正常側なのかを正しく見極める能力がある人も少ないです。
異常な運用をしている消防長以下の総務、人事の職員についても、彼らの決定は最も優れた決断だと信じているわけですからね。その人たちに正々堂々犯行と公式に反抗し行動しない時点で、あなたも異常側です。