【約43万円】勤務時間をずらして手当を不正受給?【明石市消防局】

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 規定と違う時間帯に勤務していたとして、兵庫県明石市は20日、消防署の男性係長(51)を戒告の懲戒処分にした。係長は過大に受け取っていた時間外勤務手当と深夜割増賃金計42万9426円を返納した。
 市消防局によると、係長は2018年4月から21年12月までの間、規定より早い時間帯に仮眠室へ入り、早い時間帯に起床して勤務していた。同局は「市民の信頼を損ねたことを深くおわびするとともに、再発防止に取り組む」としている。

引用元:神戸新聞NEXT

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正規の勤務時間について

 時間外勤務手当、いわゆる残業代ってやつですが、残業だけだとかなり狭義になってしまい。正確な意味が伝わりません。

 公務員というのは、正規の勤務時間というのが条例規則に基づいてあらかじめ割り振られています。一般の会社員の方も同じように割り振られている場合が多いです。

 ここで大切なのは、あらかじめ割り振られているという点です。

 このあらかじめ割り振られた勤務時間帯のことを正規の勤務時間といいますね。

 ちなみに休憩時間や睡眠時間は正規の勤務時間ではありません!

 通常の市区町村役場の窓口の人であれば、8時半から17時までとか、9時から17時までとか言う具合に割り振られているのが、正規の勤務時間となるわけです。

 では、公立病院や消防署、警察署などの24時間稼働しているような場所で勤務している公務員の正規の勤務時間はどうなっているのでしょうか?

 変則的な勤務形態が求められるような勤務場所では、所属長等の管理職員があらかじめ、施設運営などに支障をきたさないように勤務時間を割り振ることとなっている場合が多いです。

 条例規則で明確に決めてしまうと、人員不足や長時間に渡る災害があった場合に、支障がある場合があるため、人による決定を認めているということです。

明石市が定める消防局で勤務する者の勤務時間に関する規程は公開されています。

○隔日勤務者の勤務時間等に関する規程
(勤務時間)
第2条 隔日勤務者の勤務時間は、午前8時55分から翌日午前8時55分までとする。
(休憩時間等)
第3条 隔日勤務者の休憩時間は、勤務時間内において通算2時間とする。
2 隔日勤務者の睡眠時間は、午後10時から翌日午前6時30分までにおいて、署長又は課長(以下「課長等」という。)が指定する6時間30分とする。ただし、情報指令課に勤務する隔日勤務者の睡眠時間については、別に定める。
3 課長等は、火災等の緊急業務その他必要と認める場合は、前2項の休憩時間及び睡眠時間において、隔日勤務者を勤務させることができる。
4 前項の規定により、隔日勤務者を休憩時間中に勤務させたときは、課長等は、後刻に当該職員に休憩時間を与えるものとする。

  やはり記載がありますね。8時55分から翌8時55分までが勤務時間で、そのうち、2時間の休憩時間と6時間30分の睡眠時間が与えられるってことですね。

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時間外勤務と深夜割増賃金

 正規の勤務時間以外の時間に働いた場合には、時間外勤務手当の支給対象となります。

 休憩時間や睡眠時間は正規の勤務時間ではないので、その時間に業務にあたった場合は時間外勤務手当の対象となります。ただし、別の時間帯に休憩や睡眠時間を確保できた場合には、時間外勤務手当の対象外とする場合もあります。

 そして深夜割増賃金、いわゆる深夜手当ですね。22時から翌5時までは労働関連法に倣って、公務員職場でも割増賃金の対象となります。

 24時間稼働する公共施設では、この手当をもらって勤務している人も多いということですね。

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そして本題

 今回のケースでは、規定より早い時間帯に仮眠室へ入り、早い時間帯に起床して勤務していた。とあります。

規定は規程のことなのでしょうか?

そして、仮眠は定義されていないので、睡眠が正しい気がします。消防署に仮眠室があるのなら、仮眠はいつするのでしょうか?

 そして、22時から翌6時30分までの時間帯であれば、課長等により任意に睡眠時間を指定することが出来るようですし、連続した時間帯に割り振る必要もなさそうです。

 例えば、22時から6時間30分の仮眠時間を割り振ると、4時30分に睡眠時間が終了することとなり、4時30分から5時までの30分間が深夜割増賃金の対象となります。

 おそらく、今回処分された消防職員は、21時から睡眠時間をとり、3時30分から5時までの1時間半分の深夜割増賃金を受給していたってことなのでしょう。

 もっと悪徳なパターンを考えると、21時から2時までを睡眠時間①として、5時から6時30分を睡眠時間②として分割して睡眠時間を割り振れば、2時から5時までの3時間が深夜割増賃金の対象となり、上のパターンの2倍の時間分の手当受給可能です。

 しかし冷静に考えると、今回のケースは勤務を命じた側に過失があると思うんです。規程上の課長等って人ですね。

 上司の命令により勤務時間を割り振り、勤務実績を確認するのが上司の責任であり、上司の役割であるはずです。

 責任のない立場の職員が、勝手に時間外勤務手当や深夜割増賃金を請求できるわけがありません。

 途中途中で、課長等の命令や確認があったはずです。

 不適切な時間を割り振り、その勤務を命じて、その勤務内容の確認をして、一時的ではあれ税収から手当を支給している。すべての責任はや不正の所在は課長等なのでは?


 不正を行った人と利益を享受した人が別な気がします。

 課長等は処分されていないのでしょうか。