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 消防職員の 夜勤中仮眠問題 に見る制度無理解と公務倫理の崩壊 湖南広域消防局

栗東市
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【制度に無知なまま処分が軽視された消防の不正勤務】

 2025年7月、ある消防職員が「夜勤中に勤務せず仮眠を取っていた」として約12万円の夜間勤務手当を返還し、上司2名が文書による厳重注意処分を受けた。

いわゆる手当の不正受給として報じられた今回の問題だが、真に問われるべきは、消防当局自体が制度を理解していないまま、極めて軽い処分で済ませてしまった点にある。

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異常なポイントの整理

 まず前提として、消防の勤務体系は一般行政職とは異なる。通常の公務員が「朝9時から夕方5時」など日中8時間の勤務をするのに対し、消防職員は「1勤務=16時間勤務」が基本である。

 そのため、仮眠時間を除いた時間帯に16時間の勤務が割り振られる。たとえば午前5時〜午後10時までの13時間、午後10時〜翌午前5時までの3時間というように「深夜帯」に正規の勤務時間が割り振られるのが通例である。

 この深夜帯に勤務が発生している職員に対しては、通常の給与に加えて「夜間勤務手当」が支払われる。つまり、この手当は【本来の勤務時間に加えた“残業手当”ではなく、正規の勤務時間が深夜にかかるために支給される割増分である。

 言い換えれば、この3時間は「ただの時間外勤務」ではなく【通常の勤務時間そのもの】であり、当然ながらその時間帯にも通常の給与が発生している。勤務に就くべき時間に仮眠を取っていたということは、【勤務放棄=無断欠勤】であり、処分対象は手当の返還だけでは済まない。

 給与の返還、賞与査定の見直し、そして職務専念義務違反や無断欠勤としての懲戒処分が当然に問われるべき事案であり、決して「12万円を返して終わり」「文書で注意して終わり」と片付けて良いものではない。

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夜間勤務の本質を理解しない処分側の認識の甘さ

 今回のケースでは、消防職員が【正規の勤務時間】中に無断で仮眠をとり、実際には何の業務にも従事していなかったということになる。にもかかわらず、消防局はこの事案をあくまで【手当の不正受給】として処理しているが、これは完全に焦点がずれている

 この職員は、手当だけでなく、その3時間分の基本給も不当に受け取っていたことになる。

 つまり、本来の勤務時間に勤務せず給料を得ていたのだから、有給休暇ではなく無給の無断欠勤扱いとするのが当然であり、賞与の一部も返還対象になる。

 ましてや、これは【理由なき欠勤】であり、正当な手続きを踏まずに職務を放棄した以上、少なくとも懲戒処分(減給、停職、または免職)が検討されて然るべきである。

 それにもかかわらず、実際の対応はどうだったか。消防局長と当時の署長には文書での厳重注意。

 当の職員には、手当約12万円を返納させただけ。これは、制度の運用を管理すべき側の人間が、制度の意味を正しく理解していないことの表れである。

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【不正勤務が処分されない職場が示す公金管理の脆さ】

 一般的な企業や他の公的機関であれば、勤務時間中に無断で仮眠し、業務に従事していなかった場合はどう処分されるだろうか。

 通常、これは就業規則違反であり、労務放棄として減給・戒告・停職といった懲戒処分が科される。

 しかも今回は、1回だけの行為ではない。報道によれば、昨年4月から今年1月まで、約10か月間にわたり、夜間勤務日のたびに仮眠を繰り返していた可能性がある。

 これが本当ならば、【常習的な職務放棄】であり、重大な背信行為である。にもかかわらず、消防局はこれを手当の返還と文書注意で終わらせてしまっている。

 この対応の軽さは、【公金=税金】の扱いに対する緊張感のなさ、規律の弛緩、組織内の監視機能の不在を如実に示している。消防という公共性の高い機関がこの程度の認識しか持たないのであれば、市民としてはもはや信頼の前提が崩れると言わざるを得ない。

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【制度無理解による“誤った処分”がもたらす深刻な影響】

 この件は、単なる個人の不正や怠慢では終わらない。組織全体が【夜間勤務手当の意味】を理解せず、処分の判断基準を誤っていたこと、そしてそれを誰も是正できなかったことこそが、根本的な問題である。

 本来であれば、正規の勤務時間を放棄した場合には、以下の対応が必要となる。

・その時間に支払われた給与と夜間勤務手当の全額返還
・該当期間に支払われた賞与のうち該当勤務分を減額または返還
・無断欠勤として懲戒処分(最低でも減給)
・管理監督責任者の停職または降格処分

 それらがすべてなされていないにもかかわらず、「おわびします」「信頼を損ねました」で済ませようとしている。これは明確に組織の制度理解が欠如している証左であり、再発防止以前に、組織そのものの再教育が必要なレベルだ。

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【信頼を損なったでは済まされない組織責任】

 今回の事案について、消防局長は【信頼を損なったことへの謝罪】をコメントしている。しかし、実態として損なわれたのは信頼などという抽象的な感情だけではない。

 損なわれたのは、制度の厳格な運用であり、税金の正当な使途であり、公務員という立場に対する国民の監視の目である。

 ちょっと極端な見方をすれば、今回不正を行った職員だけが、なぜか市民全員の中から選ばれて、何の理由もなく、百万円以上の金額が振り込まれたって感じですね。しかも、振り込んだ事実に誰も気が付かず、返還すら求めない。いや、100万円振り込んだけど、いくら振り込んだかわからないから12万円だけ返してって感じですね。

 特に問題なのは、今回の処分があまりにも軽く、また処分を下す側が制度理解を欠いていた点である。これにより、今後同様の事案が発覚したとしても、内部的に軽微な手当返納で済ませてしまえばいいという誤った前例を残す危険性がある。

 また、これほど明白な義務違反が管理職を含めて誰一人責任を負わないという処理のされ方は、消防という組織がもはや内輪の論理で動いており、外部の目線や制度上の正義とはかけ離れた場所で運用されていることを示唆している。

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制度の軽視がもたらす隠蔽体質と自浄作用の欠如

 こうしたゆるい処分が繰り返される組織に共通するのは、制度を守ることよりも表向きの体裁を取り繕うことが優先されるという構造である。

 つまり、「バレさえしなければいい」「炎上さえしなければ処分は最小限で済む」といった発想が支配してしまっているのだ。

 消防という職業が持つ公的信頼や命を預かる現場というイメージによって、こうした問題が市民の目に届きにくいという構造もある。

 だからこそ、市民側がこの種の不正を正しく見抜き、必要な批判の声を上げ続けなければならない。

 そして本来であれば、内部からこうした問題に対して厳正に向き合う職員が存在するべきである。しかし、それすらも機能していないことが、今回のような処分内容からも明らかである。

 とはいえ、ここまで書いても内容を十分に理解することのできる消防職員なんて全体の1%くらいなのであろう。であれば、こんかいのような不適切に不適切を重ねた税金をどぶに捨てるような業務は日々行われているということなのでしょう。

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消防だから許される”という錯覚を断ち切るために

 「消防は大変な仕事だ」「緊急時には頼らざるを得ない存在だ」――そうした“善意のイメージ”が、今回のような明確な不正をも包み隠してしまう危険がある。

 しかし、だからこそ必要なのは、他の行政機関と同等、もしくはそれ以上の厳格な監査であり、【曖昧な説明に逃げずに処分の理由を明示する姿勢】である。

 今回の消防職員による仮眠問題は、単なる手当の返納で済まされるべきではない。正規の勤務時間を放棄した時点で、それは明確な職務専念義務違反であり、無断欠勤による給与不正受給という重い違反なのだ。

 それに気づかず、あるいは気づいていながら処分を曖昧に済ませている組織に、再発防止や信頼回復を語る資格はない。

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