【実は日本中の消防本部で行われている】給与の飛び級問題で全職員を調査へ【不適切な給与支給】

九州沖縄地方

 2019年に、沖縄県島尻消防組合で条例の基準を超えた21人の職員の昇格(飛び級)が明らかになった問題で、同組合が全職員98人について調査することを決めたことが20日までに分かった。不適切な支給が確認された場合は「速やかに是正していく」としている。
 飛び級は08年3月から14年2月にかけて実施。21人のうち、12人は給与を総額2761万4千円余り過大に支給され、9人は総額1221万7千円余りを過少に支給されていた。同組合は第三者委員会の答申などを受け、21人の職員給与の是正に取り組んでいた。
 全職員の調査を決めたことについて、同組合は「一部の職員から要望があったことや職員の不安を取り除くなどの理由で調査を実施する。22年度中には明らかにしたい」と回答した。
 給与の履歴を確認しながら、「級別標準職務表」と「級別資格基準表」を照らし合わせ調査を進めるという。

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概要

 消防職員に限らず、地方公務員の給与は条例に定める給料表の級と号給により決定するものです。

 級数は5~10程度に分けられており、各級内に10~120程度の号給に分けられています。号給は毎年1月1日か4月1日付けで1~6程度昇給し、毎年数千円~1万円程度の月給が上がることになります。これに対して級は数年から十数年に1度程度、1級のみ昇級(昇格)することになり、数千円から2万数千円程度の月給が上がることになります。

 これらは給与条例や規則により定められたルールに則って運用される必要があり、これらのルールから少しでも外れた運用をした場合には、厳しく罰せられることとなります。

 今回はまさにルールから逸脱した運用をしてしまった件に関する報道となります。

 詳細は分かりませんが、運用していた組織に問題があり、利益を享受した人たちの多くには何かしらの悪意が無かったのでは?という予想です。

 一人か二人程度が多大な利益を享受するために、他の職員も飛び級させることによりカモフラージュした可能性が高いと思いますね。

 私が勤務していた消防本部でも、たった1人の無能な人間を無理やり昇格させるために、数人の無能だが権限を持っている本部の人間が、制度を悪用し昇格させる事案がありました。もちろん、他の職員もカモフラージュのために昇格しています。人件費は予算上数千万円増加しましたが、悪事を企てた人が本部に近かったことと、カモフラージュのために利用された人が多かったことから、誰も気づくことがありませんでしたね

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消防では不適切が適切

下の記事でも似たようなことを記載しています。

 今回の件では、ルールから逸脱した運用が不適切であることとなり報道されている現状です。

 消防本部で運用している給与に関する条例や昇給や昇格の基準は誰が作っているのか。

 そうです。勤務する消防職員が作っているんですね。

 確かに、制定や変更には多くの労力が必要となります。しかし、内容が非常に難しいが故に、審査する側に審査する能力が無い場合も多いです。

 そのため自分たち消防職員に都合がいいように制度が設計されている場合が非常に多いです。というより、ほぼ全ての消防本部で特定の誰かに都合よく働くように制度が設計されています。

 一番たちが悪いのは、運用する総務課長や人事課長に異常なまでの裁量が定められている場合です。

昇格させる人の恣意的な選定

 昇任試験を導入している消防本部であっても、給料の昇級とは切り離している消防本部も多くなっています。

 そのため、昇任試験には不合格となり消防士長から消防司令補には昇任することは出来ないが、給料上は消防司令補や消防司令と同程度の給料を支払うことが可能となります。

 本来は不適切な運用となるはずですが、制度設計時に好意った抜け穴を作ったり、不適切な運用ですら総務課長等に裁量を与えている場合が多くあります。
 規定上は消防長に権限があるとなっている場合でも、運用上は課長レベルまで落ちている場合が大半です。消防長も忙しいですし、誰が消防士長になろうと消防司令補になろうとあまり関係ないですからね。側近の人事固めの方が優先度が高いです。 

 もちろん、裁量の範囲内での運用であるため、罰せられることはありませんし、適切な運用であるとなります

 ですが、倫理的にどうなのか?という疑問が生じるのが一般人であり、倫理的な感覚が欠如しているのが消防士です。消防士の常識は社会の非常識ですからね。

昇任試験の配点を特定の人に異常に有利になるように設定している

 階級の昇任と給料上の昇級を切り離すことができない消防本部で行われているのが、昇任試験制度そのものの悪用ですね。

 昇任試験程度であれば、条例や規則といった議会などの承認や決裁行為を経て制定されるものではなく、内規に近いかたちで制定されている場合が殆どです。

 そのため、合格して昇任させたいが無能な職員がいた場合には、その人が異常なほど有利になる規定に書き換えたり、無理やりな運用により有利にさせたりしています。

 例えば、特定の資格保持者の点数が異常に加点されたり、人事評価の特定の項目だけ加点があったりなど、やり方は無限にあります。

 不適切な運用の結果、本当に能力のある人が不合格になったり、無能で無関係の人が合格して昇任したりすることがありますが、そんなことはどうだっていいのです。特定の誰かを合格させることが目的なので、その他の人など関係無いのです。

 今回報道されているのはそういったケースなのでしょう。

 21人の中に悪人が居るはずなんです。

 誰か一人の給料を高く支給したいという思いがあったが、制度を変更するほどの能力はない。運用上の判断で押し切りたい。一人だけ飛び級させると、目立ってしまうので、理由をこじつけて飛び級させることとし、その結果無関係な人も飛び級となったり、無関係な人が昇給の機会を逃したとしても関係ないのです。

 これが今の日本の消防です。