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なぜ消防だけが異常なのか?警察・自衛隊との構造的な違いから見える組織の病理

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序章:就職活動中のあなたへ──「公務員なら安泰」は本当か?

 公務員という言葉には、安定、信頼、正義といったポジティブなイメージが付きまとう。警察官、自衛官、そして消防士。どれも社会のインフラを支える重要な役割だ。しかし、その中で、なぜか消防組織にだけ数々の異常が見られるのをご存知だろうか。

 不祥事の件数、SNSでの常軌を逸した行動(踊る、歌う、ふざけた投稿)、救助活動の放棄、国主導のシステム(#7119)への否定的発言──こうした事例が他の組織よりも突出して多いのが消防なのだ。

 この記事では、なぜ消防組織だけがこうした異常な状態に陥っているのか、その根本的な構造と原因について、警察や自衛隊との比較を通じて掘り下げていく。


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国家公務員 vs 地方公務員──トップ層の質に差がある

 まず構造的な違いに目を向けよう。警察や自衛隊の上層部は、基本的に国家公務員で構成されている。国家試験を突破し、政策・施策の企画や統括を担うことのできる人材がシステム的に上がっていくようになっている。

 たとえば、警視庁や大阪府警、神奈川県警、千葉県警、埼玉県警といった大都市の警察組織では、警察庁(国家公務員)から出向・配置されるキャリア官僚が中枢を担っている。

 一方で、消防本部はどれほど大規模であっても、あくまで地方公務員の集合体であり、東京消防庁ですら例外ではない。トップも含め、すべてたたき上げの地方公務員で構成されているのが現実だ。

 この違いが何を意味するのか──それは、組織全体の知的水準と政策判断能力に直結する。国家公務員は、高度な試験と多面的な人材評価を経て選抜される。一方で消防は、半数近くが高卒採用であり、腕力と体力を軸に昇進していく風潮が根強く残る。

 たとえるなら、「イオンモール全体の施設長に、たまたま地元のコンビニで働いていた人が昇進して就任する」ようなものであり、役職と求められるスキルの乖離は明白です。

 こうした差異が、最終的に組織の行動原理にも深く影響を与えている。


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消防だけが醜態をさらすのはなぜか?

 現場で踊り、歌い、TikTokに投稿し、Instagramで日々の食事をアップする──これは警察や自衛隊ではまず見られない光景だ。しかし消防では当たり前のように行われている。なぜか?

答えはシンプルで、「止める人がいない」からである。

 知的統制もなければ、社会的な抑制力も弱く、組織文化が自己陶酔と表面的パフォーマンスに支配されている。全国にある消防本部の多くは、外部からの視点や高度な政策判断にさらされることなく、自分たちの『ノリ』や『空気』で動いている。その結果、正気を疑うような広報活動や、根拠のない救助放棄、さらには#7119など外部制度への公然たる否定が起こる。


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警察・自衛隊が持ち、消防が持たないもの

警察や自衛隊には、次の三点が制度的に組み込まれている:

  1. 中央集権的なガバナンス:政策は国レベルで統一され、地域差はあっても逸脱はない。
  2. 幹部の外部育成:中途での幹部補充や外部からの登用が行われ、硬直化を防いでいる。
  3. 教育制度の充実:初任教育、幹部教育、再教育が厳格で、体系的に実施されている。

これに対して、消防は?

結果として、組織全体が「考えないで済む構造」になっている。

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高卒の現場職員がトップに立ててしまう構造的危険性

 ここでいう高卒とは、サッカーしかしていない大卒を含むと考えてもらって差し支えありません。

 消防という職種は、他の地方公務員職に比べて高卒採用比率が圧倒的に高く、そのままトップにまで上り詰めることができます。もちろん、学歴だけがすべてではありませんが、実務と政策の両面をマネジメントできる能力は、通常、相当の専門性と経験を必要とします。

 警察や自衛隊が国家公務員を組織の骨格としているのは、こうした高度な能力を必要とする業務において、“努力だけでは埋まらない能力差”があることを十分に理解しているからです。

 その一方で消防は、地方採用の職員が人事・制度設計・危機管理・対外広報まですべてを担っており、構造的に「限界」が存在しているといえます。

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不祥事・異常行動が示す“制度疲労”の兆候

 消防がInstagramやTikTokで踊ったり歌ったりする映像が拡散されています。広報活動としての工夫と言えなくもありませんが、はたしてその必要があるのでしょうか?

 他の公的機関ではあまり見られないこの“見せ方”に走る姿勢そのものが、現場の疲労や制度疲労を覆い隠すためのパフォーマンスであるとすら言われています。

 また、救助活動の放棄、#7119事業の内側からの批判、仮眠室での爆睡による出動遅れなど、一般的な感覚では到底考えられないような事象が続出しています。

 これらは個人の資質の問題というより、地方公務員だけで構成された“閉鎖系組織”の限界であり、制度設計そのものがこのような問題を助長しているといえるのです。

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公務員志望者・受験者に伝えたい「本質を見極める視点」

 現在、消防は公務員人気の高まりを受けて志望者を集めています。しかし、「安定しているから」「体力に自信があるから」だけで選んでよい職種ではありません。

 構造的に見たとき、消防は極めて特殊な組織であり、そこに身を置くということは、他のどの公的機関とも異なる文化・価値観の中に足を踏み入れることを意味します。

 政策的判断ができない人が政策を担い、行政の企画力を持たない人が制度設計を担当する。そんな現場で自分のキャリアを築くべきかどうか。

 「命を救う」という志は素晴らしいものですが、それを支える制度・組織の成熟度を見極めずに選ぶのは非常にリスクが高い選択であることを、就職活動中や受験中の皆さんにはぜひ認識してほしいと思います。

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