【適切?】飲酒運転の消防職員2人を懲戒?分限?処分【稲敷広域】

地域別
 茨城県の稲敷広域消防本部の男性消防士2人が飲酒運転をして警察に摘発されたを理由に、停職1年の懲戒処分とし、1階級降任とする分限処分にしたと発表した。
 1人は、飲食店で酒を飲んだあと、道交法違反(酒気帯び)容疑で県警交通機動隊に摘発された。男性は罰金40万円の略式命令を受け納付している。
 1人は、飲食店で飲酒したあと車内で仮眠したのち運転をしていた。信号待ちをした際に車内で眠り込み、警察官に起こされ同容疑で摘発された。刑事処分は未定。

 茨城県内の消防本部の消防職員2名が飲酒(酒気帯び)運転で摘発されたことを理由に処分をされたようですね。

 報道発表の原本は見当たらなかったのですが、多くの報道では、懲戒処分と分限処分の合わせ技として報じられています。

 余り例が無いパターンですね。

 懲戒処分の対象となる事案に対しては、分限処分の対象としないのが一般的です。

 処分の対象となる事案こそ異なるものの、罰則の意味合いとして処理する場合は、懲戒処分が通常の処理であると思いますね。

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分限処分と懲戒処分

そもそも2種類の処分理由が設けられている理由を見てみましょう。

まずは処分の意義・意味合いについてです。

  • 分限処分:職員が一定の事由により、その職責を十分に果たすことが期待しえない場合に、職員の意に反する不利益な身分上の変動をもたらす処分
  • 懲戒処分:職員の一定の義務違反に対して科せられる制裁としての処分

次に処分理由です。

  • 分限処分:職務実績不良、心身の故障による職務遂行への支障、その他職務に従事することが適切ではない状態であること(病気、起訴など)など
  • 懲戒処分:法令に違反した場合、相応しくない非行があった場合など

 違いが分かりますでしょうか?

 多少の誤解が生じることを前提に、直感的な分かりやすさを優先して違いを表現すると、分限処分は他の機関からの処分(行政処分、刑事処分など)を受ける程度ではないが、勤務する公務員としてふさわしくない状態にされる処分で、懲戒処分は他の機関からの処分がされるような場合に、さらなる処分を所属消防本部から行うものです。

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今回の件は?

明らかに懲戒処分のみで十分な感じがしますね。

確かに、この消防本部の例規を管理している龍ヶ崎市の分限処分の規定を確認すると、降格に関する規定が記載されています。

さらに、龍ヶ崎市の懲戒処分の指針に関してみてみると、事故を伴わない飲酒運転の処分は、訓告、戒告、減給、停職、免職と5段階用意されている処分のうち、もっとも軽い訓告を除いた戒告から免職までの処分から決定されるとのことです。

 今回適応されたの上から2番目の停職処分です。

 しかも1年です。1年というのは、かなり重い処分です。

 他の自治体の飲酒運転で事故無しの場合の処分内容は停職3~6か月となっていることが多いようです。

 懲戒処分単体でも比較的重い処分になっているにもかかわらず、分限処分を同時にかける必要があったのでしょうか?

 そもそも、懲戒処分だけなら、懲戒処分単体で処分を重くするのが通常の考え方のような気がしますね。

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重すぎる処分か

飲酒運転をしたことにより警察に検挙され、罰金も納めているとのことです。

おそらく、免許停止や取消等の処分も重なり、公務員以外の人であれば受けるべき、法令に定められている制裁は受けたものとも言えるでしょう。私制裁はキリがないので省略です。

 品行方正が求められる公務員であれば、更なる処分が上乗せされるのも当然のことと考えます。

 道路交通法などにそういった上乗せ規定を設けるのは現実ではないので、所属する地方自治体、消防本部の内部規定により上乗せの処分・罰則を設けることとなります。

 これらの内部基準は、法律のように国会などで審議されることもなく、簡単に決められてしまう場合も多くあります。

 そして、刑法や道交法もそうですが、不測の事態を予め考慮して、処分に裁量的な幅を設けて規定することになります。

 今回の龍ヶ崎市、稲敷広域消防本部の規定も同じです。戒告から免職まで幅を設けてあります。間にある減給や停職についても、減給の額や期間、停職期間など、多くの裁量があります。

 他の自治体では3~6か月の処分となっているなかで、1年の処分となったことと、合わせ技で降格までの処分をしたことについては、やりすぎなのでは?という感覚ですね。

 処分対象者の更なる弱みでも握っているのでしょうか?弁護士つけて訴えられたら、消防本部側が全面的に負ける気がしますが、それも望むところ!といった感じなんですかね?

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まとめ

 地方自治や自治体消防と言ったところで、その単位で適切な例規を作り、運用運営するのは、職員の能力的に不可能なことです。

 せめて東京消防庁くらい大きな組織で、日本中から人が集まってくるようであれば、最低限必要な人材は集まるでしょうが、人口減少地域の限界集落のような村やそれらを管轄する消防本部に、まともに法令を書くことの出来る人も、それらを読むことの出来るひともいないと思いますね。

 自分はできる!と粋がっている人はいるでしょうが、団栗の背比べみたいなもので、9割がた間違った運用なり規定になっていることでしょう。

 小さな消防本部にお勤めの皆様、本部の意見・見解を鵜呑みにしないことをオススメします。きっと間違っていますから。

 無視していい程度の間違いと、無視することが同罪になる間違いとありますので。