三重県亀山市の東名阪自動車道で先月、トラックなど5台が絡み、3人が死亡した多重事故で、亡くなった中型トラックの運転手男性(53)が亀山市消防本部と道路上で8分間、119番中、事故に遭ったことがわかった。同本部は男性に、安全な場所への退避を促していなかったという。事故は2023年3月27日未明、上り線で、走行車線に停止中の軽バンに中型トラックが追突したのが発端となって発生。そこに大型トラックが突っ込んで上下線に積み荷が散乱し、下り線で避けようとした2台の車が絡んで計8人が死傷した。県警によると、中型トラックの男性は軽バンと衝突後に道路上で119番中にはねられ、会話は途切れた。県警通信指令課によると、高速道路などから110番が入った場合、二次被害防止のため、車は路側帯に止め、運転者らは道路外に退避し、必ず安全な場所からの通話を指示するよう、マニュアルで定めている。捜査関係者によると、同本部は男性との8分間の通話中、道路外への退避などは促していなかったという。同本部は、「通報の内容は答えられないが、対応に問題はなかったと認識している」としている。ただ、捜査幹部は「安全な場所で話していれば、男性は助かった可能性がある」と指摘している。
消防の責任の起点
基本的に消防の責任の起点は存在しないと言って差し支えないでしょう。
火災現場に消防が到着したとしても、その火災により被災した財産や生命や身体的な損傷の責任は消防には無いと言っても過言ではありません。すべては災害そのものか、悪意のある第三者に責任があると言えるでしょう。
消防の不適切な消火活動により類焼延焼した事実は無数にありますが、それらに対して責任が追及されることはほぼありません。
ただし、通報を受けてから消防本部が到着するまでの隙間の時間については若干取り扱いが異なっています。
双方ともにパニックになっている
119番通報をしてきた人も、その通報を受けた消防職員も冷静ではありません。
消防本部からのポジティブキャンペーンによって、119番通報を受ける消防職員があたかも冷静であるかのようにアピールされていますが、実際にはそんなことはありません。
同じ質問を何度もされるし、住所を言っても何度も聞き返される。
全員がそうであるとは言いませんが、大半の受信者が未熟であり、未熟のまま消防職員としての人生を全うするわけです。
避難誘導の誤り
そんななかで非常に多い(多いと言っても、火災自体の件数が非常に少ないので、数年に1回あるかどうか程度)のが、火災発生時の避難誘導の誤りです。
火災の通報を受けた際に非常に重要になるのが逃げ遅れの有無です。
逃げ遅れがある場合には、可能な限り無理のない範囲で建物内に進入して救助を試みる必要がありますが、逃げ遅れが無い場合には、屋外からの消火活動だけで十分な場合が大概です。
そのため、逃げ遅れがあった場合には重要になるのが、早期に避難誘導を開始させることです。通報者に対して逃げ遅れが居るのか否か、そして避難誘導が出来るかどうかを十分すぎる程確認します。
通報者が、繰り返し電話口の消防士から確認された結果、責任感を感じてしまい、火災現場に戻ってしまうというのは無いことではありません。
119番通報をした通報者が、善意や責任感を感じて燃えている建物に戻ってしまう。その結果命を落とした一般市民の方もいるくらいです。
闇に葬られた119番受信者のミスは無数にある
処分の対象か否かは別として、受信者のミスは無数にあります。
「もっと●●に関する情報を聴取していれば、誰も怪我することなく消火できたはずなのに」とか「もっと●●という指示をしておけば、心肺停止に陥ることなく搬送できたのに」などという事案です。
しかしながら、受信時の音声データは都合良くしか公表されることはありません。もちろん、個人情報に関することですから、一般に公表されないことは当然ですが、自身が通報した時の音声データですら聞くことはできません。
確かに、消防士の活動の隅から隅までが公表されるようになれば、消防士たちの9割くらいは免職や停職に追い込まれるでしょうし、消防士の士気が下がる原因ともなることでしょうから、公表したくないという気持ちは分からなくもないです。もちろん個人情報的保護という側面もあります。