災害時の要支援者名簿を悪用か 詐欺容疑で逮捕の消防士
東京消防庁は6日、80代女性から現金をだまし取ったとして詐欺容疑で11月に警視庁に逮捕された東京消防庁野方消防署の消防士一●●●容疑者(●)=東京都練馬区=が、災害時に支援が必要な高齢者らの名前や住所が書かれた名簿を不正に持ち出していたと発表した。詐欺グループに提供し、悪用された可能性があるとみて、警視庁が窃盗容疑で調べている。
東京消防庁や捜査関係者によると、名簿は中野区が作成し、野方消防署に提供。施錠された保管庫で管理されていたが、一戸容疑者は以前、名簿を管理する係にいて保管庫の鍵の場所などを把握していた。
引用元:47NEWS
消防士の個人情報リテラシー
消防士は個人情報に関して、「保護するもの」「他社に共有してはいけないもの」という認識がありません。
基本的に消防士にとって個人情報とは「公開するもの」「共有するもの」と認識をしています。
独居老人がどのような疾患を抱えているのか。親族が何人いて、どこに住んでいるのか。その連絡先について。これ以外にも、家の中の状況や家族関係、過去の罹患情報、所得情報、勤務先など様々な個人情報を保有しています。
消防士の個人情報リテラシーが低くなる理由は簡単です。個人情報を共有することにより救うことのできる命が増えると信じているからです。
何丁目の〇〇さんは持病をもっていて親族も遠くにいるため、気象警報等が発令された場合には優先的に避難を開始することが望ましい。それを実現するためには、周囲の人たちに情報を提供することも必要だとか考えているわけです。
馬鹿も突き抜けると愛おしく感じるかもしれませんが、こういった馬鹿具合が消防の個人情報リテラシーが低くなる原因のひとつです。
命と個人情報を単純に天秤にかけるのではなく、複雑な付加情報を加味した状態で命と個人情報を天秤にかけた結果として、個人情報を保護するということになっている現状を認識できないのが消防士なのですね。
ある程度の人数が閲覧することができる状態で個人情報を保管して、その閲覧履歴を客観的に管理することすらできないということは、つまり、上記のような消防士が多いということです。
複雑性を認識できない、低能な消防士ということですね。
消防が取り扱う個人情報
消防が取り扱う個人情報は非常に多岐に渡ります。
氏名・年齢・生年月日・住所・電話番号・家族情報・別居家族の情報・通院状況・罹患情報・所得情報・勤務先情報・生活保護などの情報・障害状況・薬の処方状況など
火災や救急の現場において、必要なことを最低限の範囲で聴取するということではなく、任意に提出された情報も積極的に記録して保管します。そしてどさくさに紛れて、必ずしも必要ではない情報なども聞きだしていきます。
必ずしも必要ではない情報とは、別居している家族親族の情報などが代表的な例ですね。軽症患者であれば、病院に搬送した場合でも、そのままタクシーやバスでの帰宅を促されることになるため、親族の送迎は基本的に必要ないため、別居親族の情報なども必要ないのです。
管理者にも責任
今回の事件では逮捕された職員に対して最も重い責任が生じ、処分が下されるのは当然のことですが、管理方法に問題は無かったのか。
個人情報が漏洩した直後に情報を把握することができないシステムで住民からの信頼の下使用管理を許されているはずの個人情報を管理した責任も重いものと考えます。
管理方法が内部規定上優良なものなのであれば、その内部規定を定めた職員にたいしても責任が生じるはずです。
消防は地方公共団体であり、公的機関です。加害者が単純に裁かれればいいというわけではありません。
例え被害に遭った場合であっても、その被害の程度が適切な範囲に収まっているかどうかを検証されなければなりません。加害者に悪意があったからどんな被害が出ても仕方がないなんてことはあり得ません。
適切に被害の程度を軽減する方法を常に用意する責任を負っていると考えます。
今後、組織としての責任を十分に追及されて、適切な賠償などが行われることを期待したいです。