消防士の中で最も派手で、花形ともいえるのが救助隊です。
救急隊と比較すると災害現場に出動する回数も少ないことから、支払われる手当も少なくなります。場合によっては月に1回しかない場合もあります。その1回も誤報であったり、現場到着時には自力で事故車両から脱出していたりするケースもあります。
消防士の中で最も派手であるように思われがちですが、運悪くそのような派手な活動に出会ってしまう人は極少数です。そのため、数回の経験をいつまでも武勇伝のごとく語りづぐ、カタリベとしての役割を担っています。
また、訓練時間が長いことや、体力的に厳しい訓練を行うことが多いことから、消防のなかでもパワハラが発生しやすい部隊であると言えます。
しかしながら、仲間意識が最も強く芽生える部隊でもあるため、組織内において救助隊志望者が多い組織程健全な組織であると言えると思います。組織内におけるパワハラがしっかりとコントロールされている現れと言えるでしょう。
救助隊の概要
救助隊は救助工作車に乗車しており、1台あたり5人を基準として乗車しています。とはいえ、上記の通り災害の頻度も低いことから、4人乗車となっている場合もあります。
また、救助隊員として活動するためには、救助活動に関する基準で定められるとおり、消防学校における救助科を修了するか、それと同等以上の知識技術を有するものである必要があります。
救急隊は人件費(コスト)面から隊長を引退することとなりますが、救助隊は年齢・体力的に隊長引退となるケースが多くなっています。
しかしながら、組織管理上救急隊長と救助隊長の役職が同レベルとなっているため、比較的出世が見込めるのは救助隊と言えるかもしれません。
救助隊のキャリアパターン
救助現場一筋パターン
- 消防士として採用
- 3~5年後に消防学校救助科
- 4~6年後に救助隊入隊
- 30代半ばから救助隊長(代理)
- 40代で救助隊長
- 40代後半で中隊長
- 50代前半で大隊長
- 退職直前に消防署長
救助隊としての一線を退くのは40代後半となり、救急隊よりも早くなります。
しかしながら、上下関係を重んじる人たちの集まりであるため、救助隊長になるためには先輩救助隊を立て続ける必要があります。その辺りで気に入られないと、後任として認められないこともあります。後任として認められないと、人事評定等を利用して「救助隊長としての資質なし」とされてしまいます。
救助エキスパート編
- 消防士として採用
- 3~5年後に消防学校救助科
- 4~6年後に救助隊入隊
- 救助技術指導会で全国大会出場
- 航空隊(消防ヘリ隊)に入隊
- 30代半ばから救助隊長(代理)
- 国際救助隊就任(任期1~3年)
- 40代で救助隊長
- 40代後半で中隊長
- 50代前半で大隊長
- 退職直前に消防署長
救助技術指導会での全国大会出場、航空隊、国際救助隊を経験すると、武勇伝が増えることとなるため、ここを目指す救助隊の人は多いです。
もちろん武勇伝を増やすという目的を否定しているわけではなく、救助隊員にとっては経験はチカラですので、ある部分では理にかなっていると言えるでしょう。
救助隊は隊長引退が若くして訪れるため、退任後の役職に対しても後任がつまることとなり、出世が早いことが特徴です。
まとめ
救助隊は隊長まで上り詰めることができれば、出世は見えてきます。
救助隊長になるためには、先輩救助隊長に気に入られること、パワハラなどの問題を起こさないことが重要です。
救助隊長としての経験、そこに至るまでの経験・武勇伝を否定することは、消防組織の否定そのものになってしまうため、絶対に否定されることはありません。
救助隊として隊長まで務められなかった場合であっても、それまでにどの程度の武勇伝を積み上げられたかによって評価されることもあるため、出世としてのキャリアパスが途切れたことにはなりません。