広島市消防のⅠ種は23.3倍、Ⅱ種は5.4倍 4年間の倍率推移でみる「最終合格者3人」の狭き門

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最終合格者3人に対し、第1次試験の受験者は70人

広島市の令和7年度採用試験で、消防Ⅰ種(大学卒業程度に相当する区分)の最終競争率は23.3倍だった。申込者88人、第1次試験の受験者70人に対し、最終合格者は3人にとどまる。一方、消防Ⅱ種は申込者293人、第1次受験者256人、最終合格者47人で、最終競争率は5.4倍だった。同じ「消防」の採用試験でも、区分によって難易度に4倍以上の開きがある。

本記事では、広島市が公表している採用試験の実施結果から、令和4年度から7年度までの4年間の推移を、Ⅰ種とⅡ種の「試験区分別の差」という軸で整理する。なお、ここでの最終競争率は、公表値のとおり第1次試験の受験者数を最終合格者数で割った数字である。

Ⅰ種消防:受験者は増え、合格者は3〜4人で固定

広島市のⅠ種消防の4年間の推移は、次のとおりである。

| 年度 | 申込者 | 第1次受験者 | 最終合格者 | 最終競争率 | |—|—|—|—|—| | 令和4年度 | 78人 | 52人 | 3人 | 17.3倍 | | 令和5年度 | 82人 | 55人 | 3人 | 18.3倍 | | 令和6年度 | 74人 | 56人 | 4人 | 14.0倍 | | 令和7年度 | 88人 | 70人 | 3人 | 23.3倍 |

最終合格者は4年間で3〜4人と、ほぼ固定されている。第1次試験の合格者も、公表値では各年度とも12人で変わらない。つまり、倍率の上下は合格者の増減ではなく、受験者数の変動でほぼ決まっている構造にある。

令和7年度は、申込者が前年度の74人から88人へ増えただけでなく、申込者に対する第1次受験者の割合も、令和4年度の約67%から令和7年度の約80%へ上昇している。申込んだ人のうち実際に受験する人が増えたことが、倍率を押し上げた一因と見られる。令和6年度に14.0倍まで下がった倍率が、1年で20倍超に戻った形だ。

Ⅱ種消防:申込者は減少、合格者は40人台後半で安定

Ⅱ種消防(高校卒業程度に相当する区分)は次のとおりである。

| 年度 | 申込者 | 第1次受験者 | 最終合格者 | 最終競争率 | |—|—|—|—|—| | 令和4年度 | 415人 | 336人 | 39人 | 8.6倍 | | 令和5年度 | 286人 | 229人 | 46人 | 5.0倍 | | 令和6年度 | 313人 | 253人 | 49人 | 5.2倍 | | 令和7年度 | 293人 | 256人 | 47人 | 5.4倍 |

令和4年度から5年度にかけて、申込者は415人から286人へ約3割減った。同時に最終合格者は39人から46人に増えたため、倍率は8.6倍から5.0倍へ大きく低下した。その後は5倍台前半で安定している。

この間の動きは、公表されている数字だけを見ると「受験者の減少」と「合格者の増加」が同時に起きたものと整理できる。ただし、広島市の公表資料には募集人員の内訳や減少の理由は示されていないため、背景については民間の人材獲得競争や受験者の併願動向といった一般的な要因が指摘される程度にとどまり、断定はできない。

区分間の差:第1次合格から最終合格までの絞り込みに違い

令和7年度の数字で、第1次試験の合格者から最終合格者までの割合を見ると、Ⅰ種は12人から3人(25%)、Ⅱ種は144人から47人(約33%)となる。Ⅰ種のほうが第2次・第3次試験で絞り込まれる度合いがやや強い。

Ⅰ種は、第1次試験の段階で受験者70人のうち12人(約17%)しか通過できない。Ⅱ種は256人のうち144人(約56%)が通過する。区分間の倍率差の大きな要因は、最終段階よりも第1次試験の通過率にあることが数字から読み取れる。

他の職種との比較と、受験を考える際の見方

同じ広島市の1種行政事務(一般枠)の最終競争率は、令和7年度で3.4倍だった。Ⅰ種消防の23.3倍は、これの約7倍にあたる。ただし、行政事務は最終合格者が89人と規模が大きく、合格者数3人のⅠ種消防とは母数が異なる。わずかな合格者数の差が倍率に大きく響く点には注意が必要だ。たとえば、仮にⅠ種の最終合格者が1人増えて4人になれば、同じ受験者数でも倍率は17.5倍に下がる計算になる。

こうした数字から言えるのは、次の3点である。

  • Ⅰ種消防の倍率は年度ごとの振れ幅が大きく、1年分の数字だけで難易度を判断するのは適切でない
  • Ⅱ種消防は4年間で5〜8倍台と、比較的安定した水準で推移している
  • 受験を検討する場合、倍率の数字だけでなく、第1次試験の通過率と最終合格者数の規模を合わせて確認することが望ましい

倍率は、受験者の層や景気、他の公務員試験の日程など、複数の要因で変わる。最新の募集人員や日程は、広島市の職員採用情報で確認する必要がある。