令和7年度は受験46人に対し合格3人、倍率15.3倍
栃木市消防本部の職員採用試験(職種「消防」)で、令和7年度の申込者数は59人、受験者数は46人、合格者数は3人だった。栃木市が公表している数字で、受験者数を合格者数で割った倍率は15.3倍になる。募集人員は「3名程度」で、合格者数と採用者数はいずれも3人だった。
同じ市の公表資料には令和4年度から令和8年度までの5年分が並んでおり、倍率は令和4年度の8.5倍から、4.0倍、6.8倍と推移し、令和7年度に15.3倍へ跳ね上がっている。令和5年度の4.0倍と令和7年度の15.3倍では、4倍近い開きがある。この記事では、この振れ幅が何に由来するのかを、募集人員と申込者数の内訳から整理する。
なお、同市の表の倍率は「受験者数÷合格者数」で計算されている。申込者数を基準にした倍率ではない点に注意が必要だ。
5年間の推移:申込者は18人から59人まで変動
栃木市が公表している数字を年度順に並べると、次のようになる。
- 令和4年度:募集4名程度、申込35人、受験34人、合格4人、倍率8.5倍
- 令和5年度:募集3名程度、申込18人、受験16人、合格4人、倍率4.0倍
- 令和6年度:募集4名程度、申込33人、受験27人、合格4人、倍率6.8倍
- 令和7年度:募集3名程度、申込59人、受験46人、合格3人、倍率15.3倍
- 令和8年度:募集2名程度、申込36人(受験者数・合格者数は本稿執筆時点で未掲載)
注目されるのは、令和5年度の申込18人が最少、令和7年度の59人が最多で、約3.3倍の差がある点だ。一方、合格者数は3〜4人の範囲に収まっている。倍率の変動は、合格者数の増減というより、応募者数の増減が主因になっていると見られる。
募集人員と応募者数の内訳:募集1人あたりの申込者数で見る
募集人員に対して何人が申し込んだか、という見方もできる。申込者数を募集人員(「程度」の表記のため目安)で割ると、概算で次のようになる。
- 令和4年度:35人÷4名=約8.8人
- 令和5年度:18人÷3名=6.0人
- 令和6年度:33人÷4名=約8.3人
- 令和7年度:59人÷3名=約19.7人
- 令和8年度:36人÷2名=18.0人
令和7年度と令和8年度は、募集1人あたりの申込者数が18人を超えている。令和8年度は申込者数そのものは令和7年度より少ないが、募集人員が「2名程度」に絞られたため、募集1人あたりの申込者数は同水準にとどまっている。数字の上では応募者が極端に減っているわけではなく、募集枠の小ささが競争の厳しさを左右していると見られる。
ただし、令和8年度の最終的な倍率は、受験者数と合格者数が公表されるまで確定しない。申込者数からの概算である点は留意したい。
申込者のうち実際に受験した人の割合
申込者のうち実際に受験した人の割合(受験率)も、公表された数字から計算できる。
- 令和4年度:34人÷35人=約97%
- 令和5年度:16人÷18人=約89%
- 令和6年度:27人÷33人=約82%
- 令和7年度:46人÷59人=約78%
受験率は4年連続で下がっている。申込者が増えた年ほど、受験しなかった人の割合も大きいことになる。理由は数字からは読み取れないが、他の試験との併願などで、申込だけして受験しない人が増えている可能性も考えられる。申込者数だけで競争の厳しさを測ると、実態より高く見積もってしまうおそれがある。
小規模な採用枠で倍率を読むときの注意点
栃木市のように合格者数が3〜4人の試験では、倍率の読み方に注意が必要だ。たとえば令和6年度の合格者が4人ではなく3人だったと仮定すると、倍率は6.8倍から9.0倍に上がる。合格者が1人違うだけで、倍率は大きく動く。
そのため、単年の倍率だけで「難化した」「易しくなった」と判断するのは避けたほうがよいと見られる。複数年の申込者数、受験者数、募集人員を合わせて見るほうが、実態に近い。
令和8年度の栃木市消防の試験は、電子申請のみで受け付けられ、第1次試験は9月6日、第2次試験は10月中旬頃に予定されていた。受験資格では学歴は問わないとされており、大卒・高卒といった試験区分は設けられていない。区分別の倍率差が出る大規模な本部とは違い、1つの枠に全員が集まる構造になっている。
受験を考える人が押さえておきたい見方
募集人員が数名にとどまる試験では、倍率は応募者数の増減に大きく左右される。受験を検討する場合は、次の点を確認しておくとよいだろう。
- 倍率は「受験者数÷合格者数」か「申込者数÷合格者数」か、計算の基準を確認する
- 募集人員は「程度」の表記で、実際の合格者数が前後することがある
- 受験率は100%ではなく、申込者数より実際の競争相手は少ないのが通例である
- 単年の数字ではなく、複数年の推移で傾向を見る
栃木市の5年分の数字は、募集3〜4名程度の小規模な採用で、倍率が4.0倍から15.3倍まで振れうることを示している。数字が公表されている本部については、直近の1年だけでなく過去数年分もあわせて確認することが、試験対策の前提になると言えるだろう。
