火災調査の業務効率化に向けた検討部会報告書について

新着消防情報
スポンサーリンク

火災件数について

   火災区分      件数
 建物20,764
 林野1,363
 車両3,660
 船舶69
 航空機1
 その他12,124

現在公表されている最新の火災統計情報が平成30年分であり、上記データの平成30年のデータとなります。

全体の火災件数の半分以上を建物火災が占めています。次いで車両火災となっており、人がいる場所での火災が大半となっています。

建物火災の状況

    焼損面積(㎡)       火災件数     正方形とした場合の1辺
50未満16,2677.1
100未満1,44610.0
200未満1,67314.1
300未満67317.3
500未満41822.4
1,000未満20831.6
2,000未満5744.7
3,000未満1254.8
3,000以上1054.8

上記は建物火災における焼損面積別の火災件数となります。

イメージしやすいように右列に「焼損面積が正方形であった場合の1辺の長さ」を記載しています。

ここでいう焼損面積とは、少しでも火災があった場合には参入することとしてるので、実際にイメージしているよりも広めに焼損面積が計上されています。

一般的にニュースで報道される火災現場の映像は、一軒家の屋根が落ちて、炎が高く上がっている状況ですが、それは多くの場合100㎡を超える焼損面積であり、全体の15%以下です。

建物火災の損害額

     損害額(円)          計
10万未満11,397
50万未満2,404
100万未満1,024
500万未満3,024
1,000万未満1,277
2,000万未満922
3,000万未満302
5,000万未満224
5,000万以上190

上記は建物火災における損害額となります。10万円未満が過半数を占めており、50万円以下が65%を超えています。

火災における損害額の算出は時価により計算され、建物については再建築を加味した時価額となっています。この計算方法では、実際に居住実態のある建物火災における損害額が若干少なめに出る傾向にありますね。

とはいえ、損害額100万円未満となれば、キッチンが再利用不可能な程度に燃えてしまい、隣接するリビング等の居室の天井等が燃えている程度でしょうか。

スポンサーリンク

建物火災の原因

出火原因        件数 
こんろ2,794
たばこ1,948
放火1,334
ストーブ1,170
配線器具1,133
電気機器1,078
電灯電話等の配線1,046
放火の疑い794
電気装置493
たき火456
灯火430
不明・調査中2,645
その他5,443

上位は火が直接関係するものであり、「こんろ」「たばこ」「放火」「ストーブ」となっており、その下に直接火と関係していない、電気系の「配線器具」「電気機器」「伝統電話等の配線」がランクインしています。

注目したいのは、全体の13%を占める「不明・調査中」についてです。

これは多いでしょうか。それとも少ないでしょうか?

スポンサーリンク

火災調査の業務効率化に向けた検討部会報告書の概要

消防組織が行う、火災調査業務の課題に対して、様々に検討した結果を踏まえ、各消防本部で取り組むべき具体的な事項を提言しているものです。

具体的な事項としては、下記のとおりです。

  • ICTの活用
  • リモートによる技術支援
  • 火災調査書類様式の標準化
  • WEB技術を活用した人材育成

全国の消防本部から回収したアンケート結果をもとに、

  • 最近流行りのウェアラブルカメラ(スマートグラス)
  • 時代遅れのおじさん大好きタブレット
  • 見境なくIT化を進めようとする単純な寸法計測ソフト
  • ドラえもん世代が大好きな音声認識ソフト
  • SNSでちょっと前に流行った360度カメラ   などなどの有用性を検証しています。

アンケート結果を覗いてみましょう。

ただし、国主導でやっている調査で回答が国民ではなく地方公務員の消防士なので、忖度はそれなりに含まれていてるとは思いますが、肯定意見、否定意見を見てみましょうと思い、改めて意見を確認していましたが、

もはや、大喜利でもやっているのか?と思うくらい回答の質が低く、これでお金が発生していると思うと、鳥肌がたちました。

大喜利の結果をご覧ください。

スマートグラス

  • ライト機能を点灯させることで、暗い場所でも鮮明な静止画を撮影できる。
  • スマートグラスの写真では、ピンボケして見難い。
  • 遠隔で支援を行うこと自体には一定の効果が見込まれるが、それを実現する機器がスマートグラス(カメラ、音声通信機能が一体)である必要性は必ずしも高いとは言えない。

スマートグラという言葉を使いたかっただけなのかな?最近そんな機器があることを知り、消防でも使用を検討した実績が欲しかったのでしょうか?

この機器の利便性を十分に理解しないまま検討に入り、結果として回答は大喜利状態で、最終的には、そもそもスマートグラスなんかなくても同じことが出来る機器が他にもあるよね?と突っ込みを入れられてしまう始末でした。

タブレット

  • 現場で生じる不安や疑問を写真として送ることで具体的なアドバイスがもらえ、分漏れ等を防止することが見込まれる。
  • タブレット端末に各種情報を入れておくことで、火災調査業務に有効活用できる。
  • 他のICT機器よりも汎用性が高い
  • 最近のタブレット端末は、様々な業務効率化アプリをダウンロードできるため、今後も期待できると感じた。

これも時代遅れの50歳代以上のおじさん連中が大好きなタブレットですね。もはやタブレット教でも立ち上げた方が平和かもしれませんね。
厳しい情報管理が求められるはずの国や地方自治体で使用を検討しているタブレットに、流通している業務効率化アプリなんかをインストールしている人がいますね。これはボケなんでしょうか?だれも突っ込まないのは最近の芸風なのでしょうか?
タブレットってスマホより画面が大きいし、マジ便利じゃない?と50代のおじさんが集まって話している姿が目に浮かびます。

寸法計測ソフト

  • 単純な平面図や立面図の作成であれば有効である。
  • ソフトの操作要領が複雑であることから、積極的に導入を検討すべきものではない。

国や地方自治体にPCが広く普及してからまだ20数年で、それ以前は数人に1台程度の端末しかありませんでした。Windows、Microsoft officeの普及を考えれば、ワードやエクセルなんかが無い時代から火災調査は存在していたんです。
会議に参加している50以上のおじ様方からすれば、「ようやくワードやエクセルが使えるようになったのに、新しいソフトなんて使える訳ないでしょ。ボタンを押せば全部やってくれるような機械はないのか?ドラえも~ん」といった感じでしょうね。

音声認識ソフト

  • 音声の解析度が低い
  • 写真撮影直後に、重要事項を音声入力で記録することができ、情報収集の精度とスピードアップができた。
  • タブレット端末を取り出し、ソフトウェアを起動させ、さらに音声認識ボタンをタッチするという3つの動作が必要であるため、さらなる単純化が求められる。

音声認識ソフトなんていうのは、10年以上前からあり、その当時を知っている人からしたら、昨今の進化は目覚ましいものがあり、実用性を感じているところだと思います。
しかしながら、この大喜利オジサン集団は、そんなことも知らないので、「最近の技術はやばいから、誤認識なんかなく、完全な状態で解析をしてくれるんでしょ?」なんて勘違いをしているんですね。
そして出ました!!「3つの動作はキャパオーバー」のようです。2つの動作までで機械が動かないと、パニックになってしまうのでしょうか?こんな人たちが消火活動をしているのかと想像すると怖いですね。適切にやってくれているのでしょうか?その辺の賢い高校生とか集めた方が効率的に消してくれそうな気すらしますね。

360度カメラ

  • 360度カメラで撮影した画像が、火災調査書類の写真として使用できるか検討する必要がある。
  • 調査員が現場の状況を判断する際に写真のみならず、より立体的な映像として見ることができる。

これは少し前にインスタやらのSNSで少しだけ流行ったカメラですね。Googleのストリートビューで使ってるのが有名ですね。しかし、消防おじさんたちにかかれば、しっかりと大喜利に変わります。
火災調査書類の写真として使えるかどうか決めるのは誰なのでしょうか?この言い方だと、少なくとも消防の関係者ではないようですね。消防関係者なのであれば、こんな言い方はしませんから。
そして驚きの立体的な映像になるらしいのです。360度カメラと3Dカメラの区別がついてないんですね。VRにしても、ただの360度VRと3DVRがあることくらいは認識している人が一人でもいれば話は違ったのでしょうが、この大喜利集団では無理でしたね。

スポンサーリンク

まとめ

役人オジサンお得意の論点ずらしが発動しており忘れがちですが、火災調査に求められるのは原因と損害を明らかにし、類似した火災による被害を未然に防ぎ、国民の生命等を守ることです。

いつの間にか論点がずらされて、IT機器の活用のための業務改善になってましたね。

火災原因全体の13%を「不明・調査中」が占めていますが、これは少なすぎるのではないかと思います。

燃焼という化学反応は、次の燃焼へと指数関数的に連鎖していき、化学反応が終わると、前後に差はなく同じ状態に落ち着きます。

例えば、マッチ3本つかって正三角形の形に並べて、いずれかの火薬部分に火をつけたとします。順番にすべてのマッチが燃えることとなりますが、燃えカスを見てどのマッチが最初に燃えたのかわかるのでしょうか?

たばこの不始末により座布団が燃えてしまい、近くにあった石油ストーブに着火、ストーブは激しく燃え、近くに置いてあった古い電気毛布のスイッチ基盤が熱により変形し、ショートや基盤内の漏電により発火し、座布団、ストーブ、電気毛布は炭化してしまいました。この状態で出火原因は絶対に分からないはずです。

燃焼という化学反応により発生する熱エネルギーが引き起こす周囲の変化を考えれば、「不明」という結論しか出せない状況がもっと多いはずだと思いませんか?

無理やり原因をこじつけられている若い消防士がいるんじゃないかと思います。

事実、過去の裁判において、とても恥ずかしい事案がありました。

消防が作成した火災調査書類により出火原因は「電気的な不具合いより出火した」と結論付けられていたにもかかわらず、数年後に親族による放火であることが発覚し放火犯が逮捕されました。犯人の供述と現場の状況は一致しており、親族による放火であることは間違いないとされました。
一方で消防が作成した火災調査書類については、客観性に乏しく、論理的に成立していないうえ、別の結論を導き題している状態でした。

これをどうとらえるか。

たまたま発生した誤調査であったと捉えるか、日常的にこのような書類が作成されており氷山の一角であると捉えるか。

火災調査そのものが無意味ということではなく、次につながるような調査に重きをおいていれば有意義なことであることと思いますね。

とりあえず現状、この大喜利劇場に多くの税金が投入され、この結果を受けて不必要なIT機器への税金投入が全国的に行われることについては問題であると認識する必要があると思いますね。