【消防士】住宅火災から身を守るために必要な準備【実例あり】

火災関連情報

 この記事を読むことにより、住宅火災により自分自身や家族の命を失う可能性を大幅に下げることができます。

 生きていく中で、大切なのは命ばかりではありません。思い出や仕事道具といったものを失う可能性も下げることができます。

住宅火災により陥る状況

 住宅火災により家を失ったものの、運よく避難して命は助かったような人は、次のような状態になっています。

  • 着の身着のまま避難したため、避難時に着ていた服以外はすべて燃えて無くなってしまい、着る服が無い。
  • 子供の制服や体操服も燃えてしまった。
  • 教科書や参考書・ノートもすべて燃えてしまった。
  • 避難時に裸足で外に出ており、靴はすべて燃えてしまったため、ずっと素足。
  • その日の夜に寝る場所が無い可能性がある。
  • 手持ちの現金が無いため、何もできない。
  • 車も燃えてしまい、移動できない。
  • 身分証が燃えてしまい、行政・銀行などの重要な手続きに時間がかかる。
  • 気が動転した状態のまま、警察消防の現場検証に立ち会わされる。
  • 警察消防から長時間にわたり事情聴取をうけることとなり、家族のケアができない。
  • スマホも燃えてしまい、必要な人たちへの連絡ができない。
  • 火災保険の手続きをしたいが、保険証券一式が燃えてしまったため、連絡先が分からない。
  • 火災前の生活に戻るまでには相当な時間を要する。

基本的な対策

 精神論ではない、物理的にできる基本的な対策を紹介します。

  1. 寝たばこをしない!
  2. 石油・電気ストーブの周りに燃えやすいものを置かない。
  3. 安全装置付きの家電製品を使う。
  4. 加熱調理中は、その場を離れない。
  5. コンセントの周りに埃を溜めない。
  6. 家庭用消火器を用意しておく。
  7. カーテン・絨毯は防炎製品を使用する。
  8. 古い電化製品は、PSE等の認証付きの製品に買い替える。

 「コンセント周りに埃を溜めない!」について解説します。

 コンセントって、テレビの裏や棚の裏にあることが多くて、コンセントが露出した状態で使っている方が稀な場合が多いと思います。そのため、掃除するのも大変だし、なかなか難しいことだと思います。
 しかしながら、毎日掃除機を丁寧にかけている家庭であれば、1年や2年といった短いスパンでは火災になるほどの埃が溜まることは、まずありません。空気清浄機を常時使用している家や全館空調が付いている家であれば、4~5年程度であれば問題ありません。

 つぎに、古い家電の買い替えについてです。古い家電は基盤・配線の劣化や、内部に埃が溜まることにより火災の原因となり、全国で多数の火災が発生しています。
 テレビ、炊飯器、こたつ、電気ポット、エアコン、パソコン、換気扇といったものが火災の原因になっています。古くなったものは順に変えることをオススメします。

精神的な対策

 まずは、先に記載した「住宅火災により陥る状況」をもう一度読んでください。

 一番大切なのはこれです。

「自分は大丈夫という意識を捨てる」

 火災よりも身近な交通事故について考えてみましょう。 

 交通事故の多くは、一定速度での走行中に起こっています。カーブや交差点ではなく、一定速度走行時です。

 なぜか

 安全な状況であるが故に、自分は大丈夫という思い込みから、よそ見・わき見運転をしてしまうことにあるでしょう。

 住宅火災も同じです。

  1. 今までもいく度となくしてきた寝たばこで、今更自分の家が燃える訳が無い。
  2. 石油・電気ストーブの周りに洗濯物を干した方が早く乾くし、祖父母の時代からずっとそうしてきた。何百回とやってきた洗濯物干しで今更自分の家が燃える訳が無い。
  3. 安全装置付きの家電製品って、無駄に安全装置が作動して、何をするにも不便だし、日ごろから注意深い自分が今更失敗して自分の家を燃やすわけがない。
  4. 加熱調理中であっても、ちょっと宅配便を受け取りに行くとか、トイレに行く程度で加熱調理中であることを忘れる訳が無いから、ちょっとくらい離れても大丈夫♪
  5. コンセントから火が出るという話は聞いたことがあるけれど、築50年近い実家ですら火災になっていないのだから、自分の家も同じ。なにもしなくても家が燃えてしまうなんてことは起こらない。
  6. 家庭用消火器なんて買っても置く場所が無いし、家の雰囲気を壊してしまいそう。使用期限も長くなく、定期的に買い替えるのも面倒だし、不要だろうな。万が一の場合には近くのマンションのエントランスにあるやつを借りればいいだろう。
  7. カーテン・絨毯の防炎製品は生地が厚かったり、デザインが気に入らないものも多いうえ、値段も割高になっている。必要だって話は聞くが、自分の周りには住宅火災で家を失った人はいないし、ここまでの対策は不要だろうな。
  8. 20年以上使用している古い電化製品があるが、使えないわけではないし、最近の家電は高くて買う気になれない。とくにメンテナンスもしていないが、壊れたら買い替えれば十分だろう。

 すべて正常性バイアスです。

 自分は大丈夫! 他の人は失敗をしたけれど、自分は失敗するわけがない。 だってまっすぐ同じ速度で走るだけでしょ?
 寝たばこをして今まで何度も布団は焦がしたけれど、火災にはなっていない。これからも大丈夫。

 

 精神的な防火対策は非常に重要です。無意識のうちに正常性バイアスが働いてしまうことを意識して、「自分は大丈夫」と少しでも思ったならば、「死亡フラグが立った?」とでも思った方がいいでしょう!

 皆さまが、経験する必要のない経験をすることが無いことを祈ります。