上記記事の追加報道がちらほらなされているので、改めて情報を整理していきます。
追加報道の内容
職員の反応
いたずらを食い止めたかった。悪意を持って行動したのでない と話し、違反・違法な行動である可能性は認識していた。
組織の反応
第3者に防犯カメラの映像を見せるといった守秘義務違反のほか、カメラの映像を見て『捜査』の行動を取った個人情報保護条例違反や、私用のスマホを業務に使う市のセキュリティポリシーの内規違反もありました。これらを総括して、職務上の命令ではない規定外の行為をした地方公務員法第32条違反として処分しました。
懲戒処分の指針に照らし合わせ、審査して決めました。違法行為が1つではないことが加味されており、処分の内容は妥当だったと考えています。
ネットの反応
- よくやったと思うけどこれで処罰されるのは何だかな
- 処分は重すぎなのでは?
- これが行きすぎた正義感というやつか
- 警察官の仕事だろそれ
- もう少し冷静に行動する必要があった
処分の理由3点
第3者に防犯カメラの映像を見せるといった守秘義務違
第3者に見せることが守秘義務違反にあたった。つまり、映像を見たことや、その映像を収集したことについては、違法性は無いという考えなのでしょう。
業務上知りえた個人情報を第三者に漏らしてはいけないという規定に則ったということです。
繰り返しになりますが、知りえたこと自体は違法ではないということのように読み取れます。
カメラの映像を見て『捜査』の行動を取った個人情報保護条例違反
これが一番よく分からないですね。
果たして捜査なのか。
火災に関して火災の原因を調査する権限は消防に与えられていますが、火災の原因が放火であった場合でも、放火犯を逮捕する権限はありません。
例1
火災現場が駐車場の目の前のゴミ捨て場であった場合で、常時録画のドライブレコーダー放火の一部始終が映っていたとしましょう。
車の所有者の善意の行動により、消防と警察に対してドライブレコーダーの映像の提供があったとします。
画像の解像度も高くなく深夜帯で暗い映像であったことから、警察は犯人の特定まで時間を要するという判断をしました。対して、消防で若手職員がが映像の確認をしたところ、最近消防署に「サイレンがうるさい」というクレームを数時間にわたった行っていた人と服装、歩き方ともに一致している事実に気が付きました。
若手消防士が上司に対して映像に映る人を極めて高い確率で特定した旨の報告をしたところ、上司を経由して警察に連絡が行きましたが、その直後に再度当該クレーマーが消防署に「サイレンがうるさいから静かにしろ」とのクレームを言いに来ました。その際に、ドライブレコーダーに映っていた時間帯の行動について、当該クレーマーに訪ねてしまいました。
これは捜査であり、個人情報保護条例違反になるのでしょうか?
例2
駅前の雑居ビルに査察に行った際に、階段に多数のゴミが存置されているのを発見しました。
物件の所有者、管理者、占有者に対してゴミの存置について改善するように行政指導をしたところ、管理者から「防犯カメラを確認したところ、当該ビルの関係者以外の人間が営業時間にゴミを持ち込んで存置していることが分かった」との連絡を受けました。
いったん所有者、管理者、占有者で廃棄物を片付けて、ごみを存置しないように張り紙をして注意を促すこととし、行政指導をした消防署に対しては防犯カメラの映像を見せるとともに、階段が片付いた状況を写真で示しました。
防犯カメラの映像を確認した消防署員は、ごみを存置した部外者が近隣の雑居ビルにて飲食店を経営する者であると容易に特定することができました。そのため、翌週に当該飲食店を含む雑居ビルに対して消防査察を行う旨を連絡し、査察時の立ち合いを依頼しました。
消防査察の際に立ち会った飲食店経営者に対して、「階段は避難経路であるため、物件を存置しないように。当然のことだが、他のビルの階段にゴミを置くことも禁止です」と伝えました。
これは違法な捜査であり、個人情報保護条例違反となるのでしょうか?
捜査であり個人情報保護条例違反であるか否かは、法の番人の下決定したことなのでしょうか?人事部門などの執行部側に過剰な裁量権があったのではないか?と勘ぐってしまいますね。
私用のスマホを業務に使う市のセキュリティポリシーの内規違反
私用のスマホを業務に使ってはいけないのであれば、全員に携帯電話は配備されているのでしょうか?
研修先や出張先からの連絡は公衆電話?非番の呼び出しは?
非番や週休日に業務上の連絡事項があった場合の連絡方法は?
個人の私用携帯を使ってはいけない範囲が明確ではありませんね。こちらも懲戒処分を所管する人事部門などに過剰な裁量があるのでしょう。
この事件の第一報が、人事課長や総務課長あたりに、部下からLINEで連絡されていたら爆笑ですね。その一味も一括で処分できることでしょう。
ぜったいに人事は自分たちの非は認めませんが・・・。
再まとめ
改めて状況を見てみても、消防士として行動していい範囲が曖昧であり、権限を持っている一部の人間の裁量だけで違法性が認定されている気がしてならないという印象です。
間違っていることは間違っているとする必要は当然あることと思いますが、果たして捜査なのか?私用の携帯の使用が認められている範囲を超えているのか?などなど気になるところですね。
どうやら、他の部局の職員と揉めた経緯もある職員のようなので、消防本部としては、その部局との円滑な関係を継続するためにも、当該職員に対して重い処分を与え、恩を売ったという印象もうけますね。「あなた様方に無礼を働いた消防局の人間は、厳しく処分をいたしましたので、引き続きごひいきにお願いいたします。」みたいなね。
基本的に消防本部、消防局は脳筋集団であり、話し合いの場で市や県の事務部局と対等になることはありません。飲み会で機嫌をとったり、消防署所の消防職員をこき使って事務部局に便宜を図っているなんてことは多くありますから。人事部門の連中をはじめとして、消防長以下の幹部連中がそういった考えであった可能性も十分にあると思いますね。(経験者は語る)