Twitterは公文書なのか
結論から言うと、Twitterは公文書として扱う事が正しいと考えられているが、自治体によっては公文書としての取り扱いはしておらず、他の公文書と同様の保管や保存をしていないというのが現状です。
つまり、Twitter上でのつぶやきであっても、公的機関が広報やその他の何かしらの目的を達成するために発信した発言と考えられるため、電子的に発信された他のメールやPDF文章となんら取り扱いは変わらないというのが現在の解釈となっているのです。
ただ、解釈上はそういったモノであっても、各自治体や消防組織が公文書として他の紙文書やPDF文書と同じ取り扱いをするかは別の話となります。すべての公的組織で取り扱いが一致していないことは多々あります。
法整備が情報化社会に追いついておらず、ツールとして活用する方向にのみ意識が割かれてしまい、本来あるべき地方自治体としての役割を忘れてしまっているのが現状と言えるでしょう。
事件概要
不祥事ではないのですが、少々話題になった消防ニュースをご紹介します。
下にtweetの引用と、本文をそのまま転記してものを載せています。
【救急隊に食事の時間を!】 救急出場が続くと、救急隊が消防署に帰れない時があります。そんな時は、出場できる体制を取りつつ、救急隊がコンビニ等で飲食物を購入し食事をする事がありますので、ご理解をお願い致します。
【救急隊に食事の時間を!】
— さいたま市消防局 (@Saitama_Shobo) July 26, 2022
救急出場が続くと、救急隊が消防署に帰れない時があります。そんな時は、出場できる体制を取りつつ、救急隊がコンビニ等で飲食物を購入し食事をする事がありますので、ご理解をお願い致します。https://t.co/bwXoKEvRJm#さいたま市消防局 #救急隊 pic.twitter.com/dIT1Q8ikuS
tweetが公文書である以上、公文書としての体裁を保つ必要があります。
簡単に言うと、漢字は正しくわなければならないし、文法的にも正しいものである必要があります。漢字の用法や文法は時代とともに変化していく側面もありますが、そういった曖昧さを排除するために、内閣総理大臣から各行政機関へ直々に【公⽤⽂における漢字使⽤等について】といった文書が送られることとなっています。
行政機関で1年も勤務すれば、不特定多数の外部に向けた文書を作成する際には、上記ルールに則って文書が作成されているかを何重にも確認される機会に何度も出会うのが普通です。
ただし、消防は別です。ほとんどすべての人がこのルールや、公文書って言葉自体を知らない、聞いたことはあるが正確な意味は分からないって人が大半です。
そのため、今回のようなtweetが発信されてしまうのでしょう。
Twitterも公文書
【救急隊に食事の時間を!】 救急出場が続くと、救急隊が消防署に帰れない時があります。そんな時は、出場できる体制を取りつつ、救急隊がコンビニ等で飲食物を購入し食事をする事がありますので、ご理解をお願い致します。
時とき
これは原則仮名表記です。帰れないとき そんなとき が正しい公文書としての表記となります。
事こと
事についても、原則仮名表記です。すること が正しい公文書としての表記です。
ご理解御理解
ご理解のごは、原則漢字表記です。御理解 が正しい公文書としての表記です。
お願い致しますお願いいたします
お願いの後に続くイタシマスは、漢字を用いずに いたします と仮名で表記するのが公文書として正しい表記となります。
その他
総務省の統計データの表記を見ると、救急出動状況と表記されており、救急出場ってのは表現として正しいのでしょうか。
救急隊に食事の時間を!と書き始めているが、内容はコンビニでの買い物の時間についてであり、この短文の中でズレが生じている。察して欲しいとか汲み取ってほしいとか言われたらそこまでですが、食事の時間が欲しいのか、買物の時間が欲しいのかよく分からないですね。広報として適切なのか?って話ですよ。
最後に2点
誰がこのtweetをしたのか
通常、公文書であればその文書の発信者やそれに準ずる職責を有するものの決裁を経て公にされるものです。
このtweetについても、担当者の思い付きで自由に発信できる状況であったとは思えません。発信内容について、職責を有するものの承認・決裁を経てアップされているはずです。
もしも自由に発信できる状態であったのならば、それはそれで問題ですからね。
こういった決裁行為や承認行為があったのならば、公文書として確認をする能力があった人は誰もいなかったのでしょうかね。少なくとも、この消防本部には公文書って言葉をちゃんと理解している人は少ないのでしょう。
こんなに短い文章で、何個所も間違えてますからね(笑)
救急隊は忙しいが・・・
わたしも現役時代は、短期間ではありますが救急隊を経験しました。一日に10件以上の救急事案に対応することもあり、そのような日は食事をする時間は細切れでしか取れないときもありました。
病院内のコンビニを利用して軽食を買うことも何度かありましたが、苦情を言われたことは一度もありませんでした。
それでも毎日ってことは無かったですね。3勤務連続で食事をする時間が取れないなんてことはありましたが、4勤務目には普通に食事の時間が取れていました。
いまの多忙な状況では、確かに何日も連続で食事の時間が取れないなんてことがあるのかも知れませんね。ただ、解決方法がTwitterってのがアホらしいと思ってしまうのです。
食事の時間を確保するための工夫をまずは組織内でするべきです。
例えば、連続4件以上で5時間以上帰ってきていない救急車があった場合には、他の消防隊のうち救急資格を持っている人が消防車や事務連絡用の乗用車で病院まで行き、乗車人員の交替をするとかいう運用を始めれば問題ないはずなんです。
足りないのは、救急車であって乗車する救急隊そのものでは無いはずなので。
それをあたかも、市民の苦情が原因で食事の時間が確保できないような言い方をするのは、ちょっと組織として大丈夫なのかな?って思ってしまいますね。
何か他の問題が発生した際も、市民の責任に転嫁されてしまうのでしょうか?