相模原市消防局が2023年のオリジナルカレンダーを千部作製し、市内の消防署本署計4カ所で無料配布している。昨年はわずか3週間ほどでなくなった“人気商品”で、市消防局は「希望される方は早めに消防署にお立ち寄りください」と呼びかけている。
市消防局は消防への理解促進のため、昨年初めて作製した。23年のカレンダーにはスタンダードな「水槽付消防ポンプ自動車」のほか、人命救助に必要な高度な救助用器具を詰め込んだ「救助工作車」などを隊員が解説付きで紹介している。
相模原、南、北、津久井の各消防署で午前8時半~午後5時15分に配布している。1人1部。問い合わせは各本署。
引用元:カナコロ
消防への理解促進
相模原市消防局によれば、消防への理解促進のために無料でカレンダーを配っているとのことです。
消防への理解促進が目的ということは、消防に対する理解が足りていないという認識なのでしょう。
かなり漠然としていますね。そもそも消防に対する理解という言葉が理解できません。
消防に対する理解ができている状況というのはどういう状況なのでしょうか?
火事や救急の際に119番に電話するということを知っていることが消防に対する理解がされている状態なのでしょうか?
まさかとは思いますが、消防車両の種類を覚えることが消防に対する理解なのでしょうか?
そして、このカレンダーを取りに来る人は、消防の理解が不足している人なのでしょうか?
すべてが意味不明です。
まさかとは思いますが、この消防本部の財政状況は潤沢なのですよね?多少なりとも火災防御に関する費用や資機材や防火服等の安全にかかるものの更新の頻度を下げたりしていないですよね?
無料で効果ゼロのカレンダーを配るということは、税金を使ってごく一部の人が利益を得ているということです。災害弱者や災害リスクの高い地域への投資ではなく、不公平に税金をばら撒いているわけです。
少額だから許されるなんてことはあり得ませんよね。
何かしらの目的を達成するために、結果として一部の人が利益を享受するということは仕方のないことだと思います。
例えば、消防団員を増やすことを目的として、20代から40代の地域の人が参加するお祭り等で、募集チラシとノベルティの配布をすることは必要なばら撒きかとは思います。
しかしながら、今回の件は意味不明過ぎますね。
消防署にカレンダーを自主的に取りに来る人は消防に対する理解が低い人ではないでしょう。その人にカレンダーを渡した結果、理解して欲しい消防の事とは何なのかも具体性を著しく欠いています。きっとそんなものは存在しないのでしょう。
税金が無駄に使われる理由
消防において税金が無駄に使われる理由は様々にありますが、今回の件について考察してみましょう。
消防の場合、公費を支出する権限のある人やその事務を取り扱う人は一部の職員に限られている場合が大半です。物品の注文連絡なんかは誰でもできますが、実際に負担行為の事務権限を振られているひとは一部ということです。
今回のカレンダー発注についても、その一部の職員による不適切な行為と言えるでしょう。
その一部の職員とそれ以外の職員について考えてみましょう。
権限を有する一部の職員
消防署で勤務する救急隊員や救助隊員、消防隊員については、現場優先という建前から予算に関する権限が限られているか、ない場合が多いです。
実際には、不正防止のために予算権限をふっていないというのが実情です。
予算の横領や不適正支出が発生するのを防ぐために現場で働いている人にはその権限を振っていません。
では、その権限を有する一部の職員とはどんな人でしょうか。
消防本部により差はあるかと思いますが、主に、本部で勤務する総務関係の業務に従事する職員ですね。
つまり、消防本部全体で見たときには、少々優秀な人が集まっているとされる部署で勤務している人に対してのみ予算権限が振られているわけです。
出世のために必要なこと
この人たちは自らの出世のために何をするかというと、自分の名前が残る仕事をすることを考えるわけです。
- このシステムを構築したのは●●だ
- この条例を作ったのは●●だ
- この資機材を購入したのは●●だ
とかいった具合です。
似たようなものですが、事業の廃止は出世という面において意味がありません。
●●を廃止したのは誰々だとかいう記録や記憶は、●●が残っていない以上語り継がれることはありません。
そのため、本部で勤務する職員たちは、出世のために新しいことを初めて現場の負担や財政負担を増やしていくわけです。
その結果、本来整備できるはずであった救急や救助の資機材が整備できないなどの事象が発生したり、本来訓練に充てられるべき時間が無駄な集計作業をやらされたりすることにより、地域の消防力は低下していくわけです。
カレンダー
カレンダーの作成なんて超簡単な事務作業です。基本的に需用費での支出かと思いますので、中学生でもできる事務作用です。
そんな簡単な作業をしてカレンダーを作成して報道発表までして、俺がこのカレンダー配布事業を始めた!とか言っておけば、しっかりと出世ができるわけです。
そう考える職員も大概ですが、そういった組織風土である消防本部そのものに異常性を感じて欲しいと思います。
例えば、このカレンダーを無料配布ではなく、有償での販売とした場合はどうでしょうか?
事務的には一気にハードルが上がります。
一番のハードルは理由付けですね。今回のような根拠ゼロの消防への理解促進なんて阿呆な理論武装では、絶対に優勝販売の壁は超えられないでしょう。
膿を出してほしい
今回のような稚拙な施策を見るたびに思うのですが、どこかに正しい判断ができる人は一人くらいいなかったのでしょうか?
せめて意思決定のライン上に1人でも、真人間が居れば、絶対にこんな無駄遣いは無いはずです。
いや、ライン上でなくても構いません。真っ向からこの施策に否定的な意見をぶつけ、組織を正常化しようと動く人と、その人を支援するひとが1人ずつでもいれば状況は変わったはずです。
腐敗が連鎖して、組織全体に膿が広がる。その膿だらけの職員が、採用や人材育成までやっているのだから、膿だらけの職員が育っていくわけです。
どこかの消防本部で小さな革命がおこることを期待しています。