サイトアイコン 消防情報館

【何が違うの?】施設利用券の不正利用で免職と戒告 さいたま市【似ているけれど全然違う】

 懲戒免職とされたのは、消防局の男性主査(44)。発表によると、主査は昨年3月末までの約2年間、消防局のシステムから同僚79人分の職員番号や氏名、生年月日などを無断で取得し、県市町村職員共済組合のレク券計86枚に記入。自身がコーチを務めるサッカーチームの仲間や友人らと市内のフットサル施設で使った。本来は計17万2000円多く利用代金を支払う必要があった。市は、監督責任のあった消防署長ら5人を訓告処分とした。

 市職員のサッカークラブも、昨年9月まで2年以上にわたり、メンバー以外の職員の名義でレク券78枚をフットサル施設で使っていたことが判明した。不正な割引額は計15万6000円という。市は不正の回数が多かった水道局係長(44)と子ども未来局主任(32)の男性2人を戒告処分に、関与したメンバーと名義を貸した職員計58人を訓告とした。
 同組合の事業費は市も一部を負担している。小川栄一・市行政管理監らは同日、記者会見で「深くおわび申し上げる」と謝罪した。


 さいたま市は、福利厚生で職員が使えるレクリエーション施設利用券(レク券)で、大規模な不正使用があったとして、29日付で1人を懲戒免職、65人を戒告や訓告の処分とした。

引用元:読売新聞オンライン(一部改編)

スポンサーリンク

事件はふたつ

 消防局の職員が同僚の個人情報を無断で取得し、それらの情報をレク券に記入した。そのレク券を使用し、本来本人らが負担するべき17万2千円の支払いを逃れた。

 水道局と子ども未来局の職員が実際の利用者とは異なる職員の情報を本人の了承を得て取得し、それらの情報をレク券に記入した。そのレク券を使用して本来本人らが負担するべき15万6千円の支払いを逃れた。

 

 異なる点は赤字の部分が主ですね。

 当然金額も異なりますが、処分に差を設ける必要がある程の差ではないでしょうから、同じと考えて差し支えないでしょう。

 17万円の詐欺事件も15万円の詐欺事件も似たようなもので、1000万円を超えるような詐欺事件と比較すれば、金額により量刑が変動することも無いでしょうし。

スポンサーリンク

処分の内容が全然違う

 監督者責任を取らされた人や、利益を享受していない関係者については一旦置いておくこととして、首謀者の処分状況を見ると、人消防局の職員は懲戒免職で、水道局と子ども未来局の職員は戒告の処分です。

 処分には、免職、停職、減給、戒告、訓告があるのが一般的で、さいたま市も同じ基準のようです。

ってな具合ですね。当然ですが、上司からの厳しい𠮟責のみで済まされる場合もあるので、レベル1よりも軽い処分も無数にありますね。

 仕事上のちょっとしたミスなんかに対して、いちいち懲戒処分しませんからね。

スポンサーリンク

比較してみよう!

消防局職員水道・子ども局職員
不正期間約2年2年を超える期間
不正利得金額17万2千円15万6千円
情報の取得方法消防局のシステムから無断で取得本人の承諾を得て名義を取得(借用)
不正利用したレク券の枚数86枚78枚
施設利用者当該消防局職員とその知人など市サッカークラブ所属の市職員
本人の処分懲戒免職戒告
周辺の人の処分監督責任のある消防署長など5人に訓告関与者と名義貸し者など58人に訓告
レク券の取得方法不明不明
スポンサーリンク

不思議な事

 レク券の取得方法がまず不明ですね。

 記載とあるくらいなので紙なのだと思いますが、埼玉県共済組合のHPを確認すると【レクリエーション施設:所属所の共済事務担当課へ口頭で申し込み、レクリエーション施設利用券の交付(1人1回につき1枚)を受けてください。】と掲載されています。

 どうすれば、86枚とか78枚といったレク券を取得することが出来るのでしょうか?

 水道局・子ども局の職員は本人の承諾のもと名義を借りているようなので、利用券ごと貰うことはできたと思いますが、消防局の職員は本人の承諾なしに無断で行っているため、86枚ものレク券を取得した方法については非常に気になるところですね。
 その点については処分理由にはなってないようなので、ちょっと違和感がありますね。

スポンサーリンク

処分の差を推測【適正な差なのか?】

 消防局の職員と、水道・子ども局の職員の行為における主たる差は、情報の取得方法に限られます。

 本人の同意があったか否かとその取得方法自体の違法の有無についてのみです。

取得方法に違法性がある:管理者のパスワード等を盗み、不正にデータベースにアクセスして情報を取得した。
取得方法の違法性は薄い:業務の利便性向上を目的にだれでも閲覧できる場所に職員番号、氏名、生年月日などのデータが保管されていた。
取得方法の違法性の判断が難しい:個人情報管理者のパスワード等が容易に推測できる状態であるか、業務上の利便性向上を目的として、多くの職員に共有されていた。

取得方法に違法性がない例を見てみましょう。
 例えば、業務上必要があり、職員の職員番号、氏名、生年月日などを扱っていた場合で、業務上の使用を繰り返すうちに、十数人分の職員番号、氏名、生年月日は暗記してしまった人が居たとする。この人は個人情報の取得に関して何ら違法性はありませんね。仕事を終えたらすべて忘れて記憶喪失にならないといけないなんてルール聞いたことありませんから。

 不正アクセスとかでは無いのであれば、個人情報の管理者さんも処分の対象になりそうな気がしますね。

 取得方法に関わらず、使用はルール違反・法令違反となるようなので、この点においては消防局も水道・子ども局も同じですね。

 あたらめてになりますが、レク券使用のために必要な情報の取得方法の差が処分の差になっている。ということなのでしょう。

 取得方法の差について改めて整理

消防局職員水道・子ども局職員
許可の有無無断で取得本人の同意のもと取得
情報源消防システムにアクセスして取得本人から直接取得
情報源に到達するまでの行動IDPASS等の不正利用等による不正アクセスで取得か、常時閲覧可能な情報等であったのかは不明。個人又はグループごとに連絡したと思われる。

 不正アクセスがあったのであれば、その点が処分の理由になりそうですが、今回はあくまでもレク券の不正使用が主たる処分理由であるとの報道であり、不正アクセスではなかった可能性が高いと考えられます。

 当該個人情報が、常時閲覧可能か容易にアクセスできるような管理状況であったのであれば、そういった面からも職員の処分があってもいい気がしますね。

スポンサーリンク

ちょっと不親切な印象

 ほとんど同じような行為をした職員にたいして、免職と戒告という処分を分けているのにも関わらず、その処分の差の理由を説明しないのは不義理な印象を受けますね。

 個人情報の取得方法不正使用に関する同意の有無が相違点なんだろうけど。

 処分の差が戒告と減給などで、小さい場合にはいいと思いますが、レベル2とレベル5の差がある以上、具体的に何が処分内容を分けたのか、明らかにした方が再発防止になる気がしますね。

 市役所内ではその情報が伝わっているのでしょうか。

スポンサーリンク

そもそも

 今回の一番の被害者は共済組合ですよね。

 本来、共済組合が負担する必要のない施設利用料の助成金について、合計で30万円以上もの損害を被っているわけです。

 処分された職員は、私文書偽造・有印私文書偽造・有価証券偽造などと言った罪に問われる可能性は無いのでしょうか?

 そして不正に利益を享受していたのであれば、詐欺罪なんかも成立する可能性はないのかな?とか思ってしまいますね。

 共済組合からの被害届の提出や、有価証券偽造や詐欺などの犯罪の捜査はあったのか気になりますね。

 逮捕・起訴・判決を待たずして処分内容を決定したのでしょうか。

 レク券の不正使用から処分までの期間がかなり空いているので、どういった経緯だったのか気になりますね。

 また例のごとく不思議が盛りだくさんの消防不祥事でした。

 

スポンサーリンク

 追加情報!!

 不正利用の痕跡が発覚したのは21年8月で、レク券の使用権限のない再任用職員の名前でレク券が使用されているのに共済組合が気づき、その再任用職員に返還を求めたが、利用していないとのことで犯人探しが始まったとのこと。

 その後、免職となった消防局の職員に絞られて調査が進められたが、事実の否認及び虚偽の説明を繰り返していたため、処分までに時間がかかったとのこと。

 直後に認めていれば、約10か月前に発覚し、処分出来ていたはずです。もちろん懲戒免職処分です。

 本人の否認と虚偽説明により10カ月も処分が遅れ、その間も給料を払っていたのであれば、その間の利益も不正利得となるのかな?と思ってしまいますね。返還求めるのかな?

 虚偽の説明をしたあたりも、処分が重くなった要因なのかもしれませんが、虚偽である確証はどうやって調査したんでしょうか?
 防犯カメラ?アクセスログ?筆跡鑑定?指紋? 自白の強要????

 ちょっと前に業務の範囲を超えた”捜査”で処分された人がいましたね。

モバイルバージョンを終了