消防組織内のハラスメント問題が浮き彫りにする深刻な組織体質

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全国で相次ぐ消防組織内のハラスメント事案

2024年11月、茨城県ひたちなか市のひたちなか・東海広域事務組合消防本部において、複数の職員が同僚から性被害を受けたと訴え、警察が捜査を開始する事態となった。 ​この問題を受け、消防本部は会見を開き、ハラスメントがあったことを認め謝罪した。​さらに、上司が被害を訴えた職員に対し「組織として協力できない」と不適切な対応を取っていたことも明らかになった。

同じく11月、兵庫県丹波市消防本部では、50代の男性消防長が階級試験の際、部下に対し「散髪しないと合格させない」などと繰り返し大声で叱責し、減給3カ月の懲戒処分を受けた。 ​このようなハラスメント行為が全国各地で相次いで報告されている。

総務省消防庁の調査が示す組織的問題の深刻さ

総務省消防庁が2024年に実施した初の実態調査によれば、2023年度に全国の消防本部や消防署で少なくとも176件のハラスメント行為が発生し、幹部級を含む206人が懲戒処分を受けている。 ​この調査結果は、消防組織内でのハラスメントが単なる個別の問題ではなく、組織全体に根深く存在することを示している。

被害者の声が浮き彫りにする組織の無責任体質

茨城県の事案では、被害を訴えた女性消防士が上司に相談した際、「外でやるなら、組織としては協力できない」と告げられたと報じられている。 ​このような対応は、被害者の心情を無視し、組織の保身を優先するものであり、消防組織の無責任な体質を露呈している。

これらの事例から明らかなように、消防組織内でのハラスメント問題は、個々の職員の行動だけでなく、組織全体の体質や対応の在り方に深く根ざしている。​市民の安全を守るべき組織が、内部でこのような問題を抱えていることは、組織の信頼性を大きく損なうものであり、厳しい批判にさらされるべきである。