何気ない家族でのドライブ中に外から「ピーポーピーポー」と聞こえてきました。
ミラーで周囲を確認すると、後方から救急車が近付いてくるのが見えました。
救急車はどんどん近づいて来ています。左に寄せて止まりたいけれど、急いで止まって、後ろの車に追突されてはいけないし。どうやってよけたらいいのだろうか。突然止まったら逆に邪魔になってしまうのではないだろうか。
なんて経験は、誰でもあることではないでしょうか?特に免許取りたての初心運転者期間中は、ただでさえ心細くて不安な運転が、さらに恐怖になってしまいますよね。
救急車や消防車を運転している立場の人間からの目線で言うと、ほぼ全ての車が、「想定通りには避けてくれません」ということです。
初心者ドライバーもベテランドライバーであっても、サンデードライバーであっても、上手くは避けられていないなぁという印象です。
でも、これは仕方がないことなんです。
車の運転は一人でするものではなく、周囲を走る全ての車と連携しながら、交通ルールに則って走行しているため、ちょっとした間違いやミスの積み重なりで、超優良ドライバーであっても最良の行動をすることが出来ないというのが現実です。
様々な事情により行動が制限され、最適な方法で緊急車両に道を譲ることが出来ないという状況に陥ってしまいます。
緊急車両の特例
緊急車両は、火災現場や救急患者がいる現場にいち早く向かったり、病院に搬送したりする必要があるため、交通ルール上の様々な制約の適応が除外されています。
主なものは下記のとおりです。
- 一時停止免除
- 逆走可
- はみ出し走行可
- 最高速度の制限緩和
これらの特例を認められるためには、赤色灯を点灯している状態でサイレンを鳴らしていなければなりません。
時々見かける赤色灯だけ点灯点滅させて、サイレンを鳴らしていない救急車や消防車・パトカーは緊急走行中ではないため、上記のような特例を受けることはないってことですね。
一般車両の取るべき行動
緊急自動車以外の一般車両は、緊急自動車の進行を妨げないよう進路を譲らなければならない。という文言が法令により定められており、これらを守る必要があります。
これを守らなかった場合で、緊急車両等への妨害行為があったと認められた場合には、道路交通法違反なる場合もあります。
具体的にどういった方法をとることにより、緊急車両の進路を妨げないように進路を譲るかというと下記のとおりです。
- 原則左側に寄せて停止する
- 停止する際には交差点を避ける
- 左に寄せることが逆に進路妨害になる場合には、右に寄せる
結局どうするのがいいのか
まずは、緊急車両を運転する側に問題があるのも事実です。
緊急車両を運転する際には、車外マイクを使用して、「一般車両にどう動いてほしいのか」「緊急車両は直進なのか右左折なのか」「緊急車両は右から追い抜くのか、左から追い抜くのか」を周囲に知らせる必要があります。
これが出来ていない人が多いですね。
出来ていると勘違いしている人も多かったです。
車外マイクの性能を理解していないため、「救急車はこの先の交差点を右に曲がります。左に寄って停止してお待ちください」と言ってはいるものの、実際に社外のスピーカーから出る音は「くぁwせdrftgyふじこlpくぁwせdrftgyふみぎじこlpくぁwせdrftgyふじこlp」となり、まったく聞き取れていないんです。
この勘違い系の人は多いです。
次に多いのが、長すぎて通り過ぎちゃう選挙カーパターンですね。
「救急車はこの先の赤信号の交差点を右に曲がります。前の白い車は左によって停止してください。救急車は反対車線にはみ出して走行します。ゆっくり止まってください。」
マイクパフォーマンスが長すぎて、言い始めるころには音声が届いていないし、言い終わるころにはとっくに通り過ぎています。
楽しいドライブ中に緊急車両が近付いてきたら、前の車との車間を十分にとって同じ側に停止すれば大丈夫です!
結局はこれに尽きます。
緊急車両は1分1秒を貴重なものと捉えているからこそ、安全運転で緊急走行をしています。緊急車両と接触事故を起こしてしまうと、貴重な時間を大幅にロスすることとなっていまします。
緊急車両の進路を妨害しないのは、道路交通法で禁止されているからだけではなく、次のような考えを持ってみてはいかがでしょうか?
いつか自分の家族が事故に遭ってしまい、救急車を呼んだ時に、駆け付けてくれた救急隊員に対して心強く思うことでしょう。さらに、救急車が家族のもとに来るまでの道中では、多くの車・ドライバーが道を譲り協力をしている事実があるんです。救急隊員だけでなく、たまたま同じ道を走っていたドライバーも、家族が助かることを祈ってくれていると言っても過言ではないと思います。
自分がドライバーという立場の時でも同じです。救急車に道を譲ったその行為は、誰かを助けるための手助けになっているということを思うと、少しだけほっこりしませんか?