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消防士は品行方正であるべきか

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はじめに

【消防士は品行方正であるべきか】という言葉には2つの意味が存在しています。

 ひとつめは、消防士という人間に対して、品行方正であることを求めるというということで、ふたつめは消防士自身が品行方正であろうと務めるということです。

消防士という人間に対して、品行方正であることを求める

 これは地域住民の意識の問題です。

 自分たちが住んでいる地域の消火活動や救助活動、救急業務を行っている消防士たちについては、品行方正であるべきだと考えている。ということですね。

 火災にしろ救急にしろ、自分の生命や財産が窮地に陥った場合には、自らの恥ずかしい部分や見られたくない部分を見られることとなります。

 そういった行為をしてくる人については品行方正であってほしいと考えるのは当然のこととも思います。

消防士自身が品行方正であろうと務める

 これは消防士自身、もしくは消防士が相互に抱える意識となります。

 消防士である自分は品行方正であるべきだとか、自分も含めて、周りにいる消防士は須らく品行方正であるべきだと考えているということです。

 拡張すると、組織として「消防組織と消防組織で勤務するひとは全て品行方正であるべきである」と考えていると言い換えることができると思います。

 一般的にはこちらの意味で使われることが多いことでしょう。

 これは、現在は品行方正とは言い難い状況であるため、理想の状況に近づけるように発言をしているってことと同意義であるといって差し支えないでしょう。

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市民は消防に品行方正を求めているのか

 「見た目は超タイプであるが性格に難がある」「見た目は好みではないが、理想的な性格である」このような異性が居た場合にどちらを伴侶として選ぶでしょうか?

 これが継続的に話題に上がって多少なりとも議論が起こるということを考えると、見た目の好みと性格の好みについては価値観により優位性が分かれる基準であるということです。

 では次の場合はどうでしょうか?

 「品行方正であるが、消火活動等の熟度が低い消防士」「消火活動等の熟度が高いが、品行方正ではない」

 先に述べた見た目と性格については、普遍的な尺度が存在しないため具体的な表現が難しいことではありますが、品行方正と消火活動等の熟度については、尺度を表現することができるものと考えますので、その点を踏まえて言い換えてみようかと思います。

① 非常に礼儀正しく法令順守の意識も非常に高いが、技術の高い消防士であれば30分で消火できるような火災であっても3時間以上の時間が必要となり、近隣の住宅や車などの動産にも延焼させてしまうような消防士。

② ①に書いた火災を正に30分で消火し、近隣への延焼等は一切発生させないが、過去に犯罪歴があり執行猶予中であったり、覚知されていない犯罪行為が複数ある消防士。

 あなたの街に必要な消防士はどちらでしょうか?

熟度の低い消防士は大量に存在する

 信じたくないことであるかも知れませんが、熟度の低い消防士は大量に存在します。

 実際に10年以上消防士として勤めた肌感としては、6割以上は熟度が低い消防士と言っても過言ではないでしょう。

 さらに消防は部隊活動なので、3人の小隊において1人でも熟度が低い消防士が居ると、低いレベルでの活動しかできないというジレンマもあります。

 つまり、熟度が低い消防士が6割居ると、活動上は9割以上の活動が低レベルなものになるのです。

 本来阻止できたはずの延焼を発生させたり、1部屋で消火完了できるはずの火災で周囲の部屋まで延焼させた挙句、多数の消火水による被害を発生させたりってのは数えきれないくらいありました。そのたびに「こいつらと現場に行きたくない!って強く思いましたね。普通に考えれば責任問題で、謝罪とか有って然るべきだとも思います。」

町の犯罪者数に変化はない

 ②に書いたような、過去に犯罪歴があり執行猶予中であったり、覚知されていない犯罪行為が複数ある人という表現に対して、「自分の住んでいる街に犯罪者が来るのは嫌だ」とか言ってくる人が居ますが、それは検討違いです。

 どの町にも既に犯罪者は紛れています。執行猶予中の人もたくさん存在することでしょう。

 既に存在するその人たちが消防士として活動するだけなので、町に住む犯罪者の数については変化はありません。

 むしろ、良い校正の機会になるかも知れませんね。

 どんな理由で犯罪者になったのかは分かりませんが、多少なりとも感謝される仕事に就くことができれば、再犯とかっていうのは減るのかも知れません。

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まとめ

 個人的には消防士に品行方正を求めるのは間違っていると思います。事実と著しい乖離がありますし、その影響で火災・救助・救急という能力が劣ってい待っているのも見てきましたから。

 そして、消防士たち自身が品行方正であるべきという思考すら間違っていると思います。そんなことを考える暇があったら、時間と身を削って訓練に励んで欲しいと思いますね。

 精神的な面であったり物理的な面での接触は、他の地方公務員等と比較すると、消防士は少ない方かと思います。
 火災で言えば、消防士よりもその後の住宅支援や補助金・給付金・見舞金の手続きなどで接してくれる事務方の職員の方が接触時間は長くなるものと思いますし、救急で言っても、最終的な診断を下し、その後の治療について面倒を見てくれる医師等の方が余程身近な存在であり、存在意義が大きいものです。

 そういった面から見ても、消防士そのものが品行方正でなかった場合の影響は限定的です。強いて言うのであれば、極一部の事務方の消防士のみに品行方正を求めることとして、窓口を限定し、存在することの方が合理的であり、市民に提供する消防サービスの質も上がることと思います。

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