信頼回復なんて口ばかりの消防本部あるある

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 佐伯市消防本部は20日、男性消防士長(32)が市内の量販店で女性を盗撮したとして、停職6カ月の懲戒処分にしたと発表した。19日付。管理監督責任を問い、塩月一登消防長を文書訓告、消防本部次長ら3人を厳重注意処分とした。
 同本部によると、消防士長は4月、勤務時間外にスマートフォンを使い、女性のスカート内を撮影した。5月に塩月消防長へ情報提供があり、消防士長が事実関係を認めた。
 佐伯署が性的姿態撮影処罰法違反の疑いで捜査し、4月以前にも2件の盗撮をしていたことが判明。書類送検され、今月3日に不起訴処分となった。
 消防士長は同本部に対し「私的な問題で落ち込み、やってしまった。大変後悔している」と話したという。
 塩月消防長が市役所で会見し「市民に迷惑をかけ深くおわびする。綱紀粛正と倫理の保持に万全を尽くし、信頼回復へ向けて日々の業務に努める」と陳謝した。

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時系列

記事の内容から読み取れる日付の流れを見ると、次のように整理できます:

  • 4月:消防士長が勤務時間外に盗撮を行った。
  • 5月:消防長に情報提供があり、事実確認がされた。
  • その後、佐伯署が捜査し、4月以前の2件の盗撮も発覚
  • 9月3日:不起訴処分が下された。
  • 9月19日付:消防士長への停職6カ月の懲戒処分が発表された。

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不起訴処分が確定するまで放置した理由

 公務員の懲戒処分に関しては、通常、事実確認や内部調査、法的手続きの進行などが関係するため、一定の時間がかかる場合があります。

 特に、刑事処分(今回の場合は不起訴処分)が確定するまで懲戒処分を保留にすることは、ある程度一般的です。つまり、組織として刑事処分の結論を待っていた可能性があります。

 しかしながら、この処分を保留としていた決断に、本来合理性はあるのでしょうか?

 地方公務員に対する懲戒処分は、刑事処分とは独立して決定されるべきものです。地方公務員法やその組織内の規定に基づいて、内部調査や事実確認が行われた上で、職務上の非違行為に対する処分が決定されるのが本来的な正しい処分の流れです。

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懲戒処分と刑事処分の違い

懲戒処分は、職員としての服務規律や倫理に違反した場合に、内部的に行われる処分です。懲戒処分の目的は、組織の秩序や信頼の維持、公務員の服務規律の厳正な保持です。従って、地方公務員法に基づき、勤務先である行政機関が独自に判断して処分を行います。

 つまり、懲戒処分の理由に刑事処分の内容が付されていないことが一般的です。一般的としたのは、殺人の現行犯逮捕であったり、明らかな非違行為があった場合には警察の処分を待つことなく懲戒処分を行う必要があります。

刑事処分は、個人の犯罪行為に対して法に基づき行われる処分であり、検察や裁判所がその判断を下します。刑事処分は刑事責任を問うものであり、懲戒処分とは法的な枠組みや目的が異なります。

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問題点

処分が遅れることによる組織の信頼低下

 不祥事が公表されたにもかかわらず、懲戒処分が遅れることは、組織に対する社会的な信頼を損なう可能性があります。特に、公務員という職業においては、市民や社会からの高い倫理基準が求められています。処分が遅れることで、「組織が不適切な対応をしているのではないか」といった疑念が生じる可能性があります。

 (今回の件にいては、本人の自供・逮捕・送検された時点では隠ぺいしたのではないでしょうか)

 偉そうなことをいっていますが、盗撮犯に対してそのまま税金から給料を払い続け、地方公務員と言う身分も与え続けたのは当該消防本部ですから。もしかしたら、本人の意に反して、人事が騙し、欠勤を強制していた可能性も捨てきれません。

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懲戒処分の独立性の問題

 懲戒処分は組織の内部での違反行為に対する処分であり、刑事処分とは別に判断されるべきです。刑事処分の結果を待つ必要はなく、懲戒処分は独自に迅速に行うべきです。刑事処分の結果を待つことで、組織内での責任追及が遅れることは懸念されます。

 つまり、処分を遅らせたことは信頼を失うべき行為であるということです。

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不起訴の影響

 今回のケースのように、不起訴処分が下された場合、刑事責任は問われないことになりますが、これはあくまで刑事法上の問題です。たとえ不起訴処分であっても、職員の行為が倫理的に問題がある場合には、組織として懲戒処分を行うべきです。つまり、懲戒処分が刑事処分の結果に左右されるべきではありません。

 不起訴となった場合、不起訴の理由については多くの場合公表されません。不起訴にもたくさんの理由があるわけです。そもそも犯人じゃなかったとか、犯人の可能性が高いけど、認定するには証拠が乏しいとか、軽犯罪等で十分反省していてるなどです。

 もちろん、消防本部にも不起訴理由は伝えられません。

 不起訴なのにも関わらず、懲戒処分は決定するとなると、整合性がとれなくなるのです。

 今回のケースがまさにそうです。

 不起訴なのにもかかわらず、懲戒処分のうち2番目に重い処分である停職を決定したわけです。

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結論

 盗撮をするような職員が勤務していたことが問題なのでしょうか。

 それとも、盗撮をしたと自供している職員を即座に処分しなかったことが問題なのでしょうか。

 それとも、盗撮したと自供した職員に対する懲戒処分を、検察の処分が決定していないことを理由に先送りしていたことが問題なのでしょうか。

 少なくとも、盗撮をした職員については懲戒処分という罰をうけていますので、これ以上の罰が必要だとか騒ぐのはヤフコメ民と同類です。

 では、処分を先延ばしにしたこと、その盗撮犯に処分を下さないまま身分を保証していた消防本部そのものに問題はないのでしょうか?

 今回のように、刑事処分の結果を待つ形で懲戒処分が遅れた場合、それ自体はよくあることですが、職務上の非違行為に対しては組織が独自に迅速な対応を取るべきであり、その遅れが組織や社会に不信感を生じさせるリスクはあります。この点について、組織として適切な説明が求められるでしょう。

 つまり、消防本部の信頼、ひいては消防そのものに対する信頼を棄損したのは誰なのでしょうか。

 ということです。