岩手県遠野市の34歳の消防職員の男が、勤務する市消防本部の建物内からコピー機用のインクカートリッジを盗んだ疑いで11月30日夜、逮捕されました。市の消防職員が逮捕されたことを受け、遠野市の多田一彦市長が会見で陳謝しました。
窃盗の疑いで逮捕されたのは、遠野市消防本部の消防副士長・●●●●容疑者(34)です。
警察などによりますと、●●容疑者は10月下旬、自身が勤務する消防本部2階の事務室からカラーコピー機用のインクカートリッジ数点を盗んだ疑いが持たれています。
インクカートリッジはあわせて時価数万円相当で、業務用として段ボール箱の中に保管されていたということです。
また、●●容疑者が10月下旬以降インクカートリッジをインターネット上で転売しようとしていた形跡も確認されています。
警察の調べに対し●●容疑者は容疑を認めていて、市消防本部では「厳正に対処し再発防止に努める」とコメントしています。
引用元:めんこいテレビ
窃盗の疑いでの逮捕
窃盗の疑いで逮捕されたということは、警察に対して被害届が提出されたことを切っ掛けに捜査が行われたということで間違いないでしょう。
通常、明らかな窃盗犯の進入等の事実が確認されない限り、個人宅以外で物がなくなったとしても、警察に通報することなく、社内での独自調査が行われることで終了します。大半はその段階で犯人が見つかり、警察による司法の処分を受けることなく、内部的な処分で終了してしまいます。減給とか解雇とかですね。
今回のケースでも、確実に内部での調査は行われたはずです。警察による捜査が入ったということは、内部調査では犯人の特定に至らなかったということなのでしょうか?
推察される事実
- インクの減りが例年より著しく早く、当初予算積算時の見積もりを大きく上回るペースで予算執行されていた事実に気が付く。
- プリンタの使用状況をしらべたところ、想定以上の印刷量が発生している状況は確認できず、インクを消化していない可能性が濃厚になった。
- インクの購入履歴と補充履歴を確認または、新たに購入したインクの保管状況を追跡確認して、インクが盗難されている事実を確認した。
- その後も観察を継続したが、犯人を特定するには至らなかった。時を同じくして「盗まれたものと思われるインクがネットで売られている」との情報を入手する。
- この時点で警察に通報して、警察の捜査が開始される。
- 警察の捜査の甲斐あってか、警察の捜査が入ったことに恐怖を感じた●●本人の申し出があったからなのか、犯人が特定され逮捕される。
- 取り調べなどにより本件事実が判明する。
- 警察から実名で報道発表する予定であると連絡を受けた消防本部は、早急に対策を考えて、美品の紛失、警察への通報、逮捕というシンプルな流れのみを公表することとする。
こんな感じでしょうか。
ほとんど事実と相違ない感じがしますが、消防らしい稚拙な隠ぺいがあると想像することができますね。
わかりますか?
先にも記載しましたが、盗難⇒通報とはならないのです。
乾電池、コピー用紙、クリップ、ラミネーター、ボールペン、鉛筆、メモ帳、バインダー、ホチキスなどなど、様々なものについて私的に利用されている事実があるはずです。
にもかかわらず、にもかかわらずです。こういったものの私的利用が通報されることは無いわけです。
今回のケースの肝は、ネット転売されたものが何者かに購入されてしまった場合、盗難だけの問題ではなくなります。つまり、ネット転売の事実は警察の捜査を入れた結果明らかになったことにしておかないと、消防が警察に通報をした理由に客観性がと合理性が無くなってしまうのです。
ある程度の備品窃盗は容認しますという消防本部の方針を公にすることになってしまうので、それは避けなければなりません。
消防らしい珍不祥事
消防組織において「ある程度の備品の盗難は容認する」ってのが常識です。警察への通報はせずに、簡単な内部調査で済ませるのがセオリーです。
普段は容認しているため、盗難があっても警察への通報はしていない。今回はなぜ通報することにしたのか。その辺りがキモですね。