【消防庁のハラスメント調査に潜む嘘と欺瞞】

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回答者構成に現れた明らかな「ウソ」

今回、総務省消防庁が実施した「ハラスメント対策に関する調査(消防吏員向け)」では、回答者606人中、女性は59人とされています。

 いわゆる無作為抽出をうたっているはずのこの調査で、女性回答者が全体の約9.7%を占めるという事実に、違和感を覚える消防職員は決して多くないだろう。

 しかし賢明な人であれば分かるはずだ。これが公正に行われた調査ではないことが。

 なぜなら、全国の消防吏員に占める女性職員の割合はおおむね3~4%程度に過ぎません。これと比較すれば、今回の回答者における女性の割合は明らかに高すぎるのです。

 無作為抽出であるならば、女性回答者数は20人前後であるべきであり、実際にはその3倍近い比率になっています。

 これはすなわち、「無作為抽出」とされていた調査方法が虚偽であった可能性を強く示唆しています。もはや無作為抽出を嘘だと認めていることに相違ないといってもいいだろう。

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「誰が答えたか」が把握されていた可能性

 このように、調査が無作為ではなかったとすれば、当然、誰に回答させるかはあらかじめ意図的に決められていたことになります。

 つまり、回答者の身元が特定できていた可能性が極めて高く、少なくとも消防本部の総務や人事部門は、「誰が、どのように答えたか」をほぼ把握していたとみるのが自然です。

 本来、ハラスメントに関する調査は、匿名性が絶対に担保されていなければなりません。

 回答者が少しでも「身元がバレるかもしれない」と感じた瞬間に、本音は決して書かれないからです。にもかかわらず、今回の調査設計では、人数規模の小さな消防本部での回答が混じっていれば、職種・年代・性別などの組み合わせから個人の特定が容易になる危険性がありました。

 しかも意図的な抽出が行われていたとすれば、調査結果全体の中立性は完全に失われています

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「人事にまともな職員はいない」という前提

 そもそも、こうした調査の裏で実務を担っているのは、各消防本部の総務や人事部門です。

 しかし、ここで改めて確認しておきたいのは、【消防組織において、人事や総務に配属される職員の質の問題】です。

 消防職員の間では、まともな人格や倫理観を持った人間が人事業務に携わることはほとんどない、というのはある種の常識です。

 なぜなら、人事とは「現場で問題を起こした側(加害者)」を庇い、「被害者の声を揉み消す」ことを常態化させている部署だからです。

 しかもそれを罪悪感なく遂行し、時には達成感や正義感すら抱いている者が少なくないという現実があります。

 それは彼らが単に命令に従って動いているのではなく、自ら進んで守るべき者を間違えているからに他なりません。

 加害者が上司や幹部である場合には、その立場を守るために証拠隠滅や被害者の黙殺にまで手を染める。組織内でそうした動きが問題視されることもなく、逆に「うまく処理した」と評価される風土があるのです。

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被害者を“処理する”組織

 これまで何度も指摘されてきたように、消防という組織は「内部の声」をあらかじめ無効化する設計になっています。

 通報窓口を設けていると公言していても、そこに訴えが届けば、まず最初に起きるのは誰が言ったかの詮索です。そしてそれが判明すれば、異動や監視、評価低下といった「間接的な報復」が静かに始まります。

 今回の調査が、「誰に答えさせたのか」がコントロールされたものであるならば、まさにその延長線上にあります。

 都合の悪い人間には答えさせず、回答者の属性を操作し、「パワハラは少数派で、組織としては改善の兆しがある」といった都合のよい建前の結果を作り出す。それをもって「問題は沈静化しつつある」と発表する。事実の隠蔽とごまかしによる組織防衛が、今まさに行われているのです。

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本当に問われるべきは「誰がこの調査を作ったか」

 総務省消防庁がこの調査を発表したからといって、そこに中立性や科学的客観性を期待するのは、残念ながら筋違いです。

 なぜなら、消防庁そのものが各地の消防本部からの出向職員によって構成されている「寄せ集めの組織」だからです。出向職員にとって消防庁は一時的な職場に過ぎず、いずれ地元の消防本部に戻る運命にあります。

 つまり、「仲間内で不利になるような調査結果を出せるはずがない」のです。

 ましてや、忖度や自己保身を行動原理とするような職員が、調査対象の抽出・分析・公表すべてに関わっていたとすれば、この調査そのものが初めから「答えありき」のパフォーマンスに過ぎなかったと言わざるを得ません。

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数字に現れた“偽りの安心感”

 調査では、「令和6年度中にハラスメントを受けた」と回答した職員は全体の【約9.7%】、つまり606人中59人とされています。

 この数字だけを見ると、「ほとんどの職員はハラスメントを受けていない」「問題は一部に限られている」という印象を与えるかもしれません。しかし、この「少ない」という印象こそが、まさに巧妙なトリックです。

 前提として、消防という組織は上下関係が極端に厳しく、閉鎖的な職場です。

 実際の現場では、日常的に人格否定的な言動や暴力的指導がまかり通っており、それを「教育」「伝統」「組織の規律」としてすり替える風潮があります。

 つまり、被害者がハラスメントと認識していないケースが圧倒的に多いのです。

 さらに、調査において「何もしなかった(できなかった)」と回答した被害者が最多であったことからも、声を上げることすら諦めている職員が多いという現実が浮かび上がります。

 理由として最も多かったのは「何をしても問題の解決にはならないと思った」というもの。次いで、「人間関係が悪くなると思った」「職場に相談しづらい雰囲気がある」と続きます。

 思い返してみましょう。このアンケートに回答したのは消防職員です。消防職員が「何をしても問題の解決にはならないと思った」と思っているわけです。こんな人が火災現場に消火活動に来たり、救急現場に駆けつけてくるわけです。

 希望を言えば、「自分の力や仲間の力でどうにかする!戦う!」という意気込みで災害現場や救急現場に来てほしいところですが、実際には「俺にはどうせ無理だよ」という気持ちで来ているといっても過言ではないでしょう。

 普段から「自分たちは忙しい」とか「被害者だ」とかいうアピールを続けている消防職員たちですが、実際には「自分たちが如何に無力か」を認識しているか、都合よく認識していないかのどちらかなのです。 

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通報窓口の“形だけ”の存在

 調査結果には、相談・通報のルートとして「相談窓口に連絡した」「人事に相談した」「通報制度を利用した」などの選択肢も含まれていますが、いずれもごくわずかです。圧倒的多数は通報すらせず沈黙しています。

 ここで改めて問うべきなのは、なぜ相談窓口が機能していないのかです。その最大の理由は簡単で、【信頼されていない】からです。

 そもそも、ハラスメントの加害者が管理職や幹部であることが多く、その幹部が所属長や相談窓口の実権を握っている以上、被害者からすれば「訴えても結局もみ消される」という予測が働きます。

 実際、「管理職員が行為者だったから相談しなかった」と回答した職員も一定数存在します。

 つまり、通報制度は形の上では存在していても、現実には完全に機能停止しているのです。

 しかも消防庁側は、この事実を十分に把握していながら、「相談窓口がある」「通報制度を設けている」とアリバイ作りに終始している。

 これは制度の問題ではなく、【信頼される仕組みにしようという意志が組織に存在しない】という深刻な病理です。この理念に同調し、パワハラ上司を崇拝しているような人しか、その立場になれないのです。

 能力だけで評価を続けても、かなり早い段階で頭打ちが来ます。能力を買われて早期に事務方に回されて、その場で従順さを計られます。従順ではないと判断されても、能力だけである程度の出世は可能ですが、やはり野良犬は飼い犬には勝てません。

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ハラスメントを育てる組織風土

 消防組織に根付く文化には、パワハラが自然と発生・増殖するための条件が揃っています。例えば以下のような要素です:

  • 階級社会における絶対服従文化
  • 指導と称する怒鳴り・罵倒の常態化
  • 密室的な人事配置と情報統制
  • 「恥は外に出すな」という沈黙の圧力
  • 揉め事を起こすなという被害者への自己責任論

 これらが積み重なった結果、パワハラは誰もが知っていて、誰もが見て見ぬふりをする日常になっているのです。そしてパワハラ、いじめ、暴力事件を見て見ぬふりすることができる職員だけが消防組織に残っているという事実です。かれらに正義感のかけらもないのです。告発すれば、次は自分かもしれないと言い訳をする消防士なのです。つまり、消火活動や救助活動を積極的にやると、自分がけがをするかもしれないから、安全地帯でやってるふりだけを繰り返し、誰かの責任に転嫁する。以前あった道路陥没で救助を放り出した複数の消防本部がありましたが、まさにそういった連中の集合体であることの現れです。

 また、消防の職員は、研修でも昇任でも「組織の論理に忠実か」が評価軸となっており、人間性や共感力は出世において評価されにくい傾向があります。

 こうして選抜される幹部は、部下を守ることよりも組織や自分の保身を優先する人間が多くなる。そして、その幹部たちが通報窓口や人事評価を掌握するのです。

 組織の上層にいる者ほど、「問題があること」を認めたがらない。だから「問題がない」という結論に誘導されるように、調査も報告も、最初から結果ありきで組み立てられるのです。

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今回の調査は“沈黙させる”ための儀式だった

 こうして振り返ってみると、今回の「ハラスメント対策に関する調査」は、被害の実態を明らかにし、対策を講じるためのものではありませんでした。むしろその逆です。

  • 回答者は恣意的に選定され、
  • 調査対象は限られ、
  • 通報も相談も機能しておらず、
  • 結果は安心感を与えるよう操作され、
  • 「ちゃんと調査した」というアリバイだけが残される。

まさに、沈黙を固定化するための儀式だったのです。