熊本市消防局は17日、飲酒運転や無免許で救急車を繰り返し運転したとして、北消防署警防課の●●消防士(24)を懲戒免職処分にしたと発表した。聞き取り調査に「事の重大さから怖くて上司に報告できなかった。無免許運転を続けることでしか事実を隠せなかった」と話しているという。
市消防局によると、●●消防士は2022年12月、道交法違反(酒気帯び運転)容疑で検挙され、23年1月に運転免許を取り消されたが、上司に報告していなかった。その後も無免許で救急車を20回運転し、市民11人を搬送。新型コロナ禍などで救急車の運転手が不足し、応援に入っていたという。
2月9日に自宅前の市道でマイカーを無免許で運転したとして、同法違反(無免許運転)容疑で現行犯逮捕され、発覚した。市消防局の平井司朗総務部長は「消防に対する不快感や不信感を与え、市民の期待を大きく裏切り、おわび申し上げる」と陳謝した。
引用元:毎日新聞
懲戒免職処分
懲戒処分の指針とか、その結果とかいうものは、いい意味でも悪い意味でも世論に流されて、時代に合わせて変化するものですが、酒気帯び運転で免職は重過ぎると個人的には思うのです。
人事院が提示している標準的な基準では、【酒気帯び運転をした職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職(事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした職員は、免職)とする。】となっています。
つまり、酒気帯び運転の場合、免職、停職、減給の3パターンがあるのです。
ちなみに、無免許運転については具体的例示はありません。
そして、酒気帯び運転で検挙された後の行動で、「直ちに職場に報告をしなかった」という点で問題がありますが、裏を返すと、「職場に対して報告できる状況では無かったのは、個人と共に職場にも問題があった」と考えることも出来ると考えます。
過去の判例では、酒気帯び運転で物損事故を起こしたにもかかわらず、地方自治体が下した免職という決定は違法であると取り扱われた事案もあります。
SNSが世論を支配するような時代の中で、法令上公平な判断ができない自治体職員が増えているのは事実かと思います。法令上の権限を逸脱して、人事総務担当者が私怨に基づいて懲戒免職を誘導することができる現状は、消防組織の異常性が加速していくことの一因と考えます。
今回免職となった人がどういった行動を起こすのかは分かりませんが、既に法を犯したことに伴う行政上の責任は果たしていると思いますので、次の目標に向かって進んでいってもらいたいものです。