サイトアイコン 消防情報館

【猛暑日】消防士がやっている熱中症対策【熱中症】

 消防士は真夏でも真冬でも、雨が降っていても、雪が降っていても、火災が発生すれば炎耐性のある防火服というものを身につけて現場に向かいます。
 防火服は、その目的から、通気性や熱交換性能が悪く作られています。火災現場で熱い空気が服の中に侵入してきたら着ている意味がないですから。
 そのため、真夏の猛暑日であっても、スキーウェアを着てサウナに入りに行く!ってのが消防士の現場です。

スポンサーリンク

熱中症対策は事前準備が大切

 熱中症対策としてよく取り上げられるのは、水分をこまめに摂取しよう、水だけでなく塩分なども摂取しよう、体調不良になるまえに小まめに休憩をしよう、直射日光を避けて日陰や日傘を活用しよう、日焼け対策もしっかりしよう、通気性のよい服装をしようなどがあります。

 これらも事前準備ではありますが、消防士がやっている熱中症対策の事前準備は数か月前から始まります。

 時期的には桜が散ったころからゴールデンウィーク前には熱中症対策を開始し、数週間にわたってお行われます。

 暑熱順化は訓練の一環であり、火災現場で消防隊員が熱中症で倒れてしまうのを予防するための訓練なので、10代の若手消防士から定年間際のレジェンド消防隊員まで、すべての隊員が参加して行われます。

スポンサーリンク

暑熱順化とは

 一般の辞書には載っていないので、今現在ではまだ造語とか、専門用語に近いんですかね。

 暑熱つまり真夏の暑さに対して、身体のみならず、精神的な部分も含めて順応していくことを暑熱順化というふうに表現しています。

 熱中症は消防士にとっても、非常に怖いものであるとともに、一般の人よりも身近に感じているものとなっています。

 

スポンサーリンク

消防士の暑熱順化の具体的方法

 消防士の暑熱順化の具体的な方法は、段階的に行われていきます。4月上旬から5月上旬にかけて、ぐんぐんと最高気温が上がっていくのに合わせて、訓練を段階的に進めていきます。

 まずは、防火服を着用した状態での軽負荷の運動を開始します。軽めのウォーキングやジョギングなどを5~10分程度の短い時間で区切って行い、定期的に体温と心拍数、血圧などを測定していきます。その際に、吐き気や頭痛などがある場合には身体の変化についてもメモしておきます。合計で30~1時間程度の活動となるようにします。

 1箇月程度の期間を使い、訓練の負荷を徐々に増やしていきます。具体的には、階段の昇降運動、梯子などの簡単な想定訓練、資機材の搬送訓練、サーキット、シャトルランなどを防火服を着た状態で訓練を進め、余裕があれば空気呼吸器等を背負った状態でも参加します。

 その最中も定期的に体温と心拍数、血圧などを測定していきます。その際に、吐き気や頭痛などがある場合には身体の変化についてもメモしておきます。水分補給は任意ではなく強制的に実施します。

 多くの隊員は訓練中に身体の不調の前兆を感じることになります。そのまま続ければ熱中症になってしまうので、そういった隊員はすぐさま訓練を離脱していきます。

 訓練の目的は、全員が同じ暑熱耐性を身につけることではなく、それぞれの個性や身体的特性に合わせて暑熱耐性の限界を引き上げるとともに、限界点を知ることです。

 限界点を知った上であっても、現場では限界まで活動しないということも繰り返し認識をさせていく事が必要です。限界の前に活動を離脱して予備隊員と交替することにより、部隊全体での長時間活動を継続させることが出来ます。

 7月、8月の真夏日や猛暑日が増えていく前に暑熱順化を完了するのが理想ではありますが、暑くなってからでも開始することは可能ですし、暑くなっても継続していくことが必要です。

スポンサーリンク

一般の人もできる暑熱順化

 暑熱順化は、消防士程の暑熱耐性を身につける必要は無いとはいっても、熱中症を避ける手段としては有効なものです。一般の人でもできる暑熱順化についてご紹介します。

汗をかきやすい身体をつくる

 早朝、夜間、休日にジョギングなどの軽い運動をして、汗をかきやすい身体を作りましょう。

 汗をかくことにより体温が下がるため、熱中症を予防する効果があります。

 人によっては、冬の間に汗腺が閉じてしまい、汗をかきにくい身体になっている場合があるため、なつのあいだは汗をかきやすい身体にしましょう。

 大前提として、体調不良になる程度までの運動は必要ありません。若干の体調不良を繰り返すことにより間違った暑熱順化を進めようとすると、最悪命の危険があります。

熱中症の初期症状、前兆を学習する

 これも非常に重要なことです。熱中症が発生する場所は屋外に限らず、トイレやリビングなどの室内でも発生するものです。

 【今日は暑いし体調も優れないから、家でゆっくりしよう】と思っていたが、夕方になって体調が悪化して動けなくなってしまった。救急車で病院に運ばれたところで、熱中症と診断されたなんていうケースもあります。

 暑いし体調が優れないという時点で熱中症の初期症状や前兆が表れていたのかも知れません。

 このケースの熱中症の原因は無知によるものということも出来るでしょう。

 熱中症の初期症状などについてしっかりと知識を蓄えることも暑熱順化のひとつと言えるでしょう。

急激な日焼けを避ける

 急な日焼けや強い日焼けによる皮膚の炎症を放置すると、脱水や汗をかきにくい身体になってしまう場合があります。

 急な日焼けや、日焼け後のスキンケアを丁寧に行って、身体の正常な熱対応サイクルを維持するようにしましょう。

 

モバイルバージョンを終了