火災が発生する原因や拡大した原因については様々ありますが、変に人の手が入り、人為的な理由により意図せず火災が発生・拡大したことも多くあります。
家電製品やガス機器の使用方法を誤ったことにより発生する火災もありますが、安全装置の進化や説明書をよく読むことにより防げた場合が多くあります。
今回はそういった安全装置でも防げない、取扱説明書にも記載していないであろう、ちょっと不思議な人為的な理由で発生・拡大した火災の事例を紹介します。
ベッドの下に落とした携帯電話を拾おうとして家を失う
ベッドの下に携帯電話やリップクリームを落としてしまうなんてのは【あるある】ですよね。
部屋の電気を付けて拾おうとしても、ベッドの下までは明るくならずに、なかなか見つからない。
そんな時はどうしますか?懐中電灯で照らす?スマホで十分だからそもそも懐中電灯なんか持ってない?
このケースでは、何を使ってベッドの下を照らしたか。
そうです。仏壇に置いてあったチャッカマンに火をつけてベッドの下を照らしたんです。
視線はチャッカマンの火ではなく、落とした携帯電話を探しています。
冷静になれば当然ですが、見事にチャッカマンの火がベッドや布団に引火し、気が付いた頃には手遅れとなっていたようです。
確かに、ベッドは下から燃えているため、上から水をかけても効果は薄いですから。
そして、炎よりも煙が大量に出てきて、「苦しいし、このままじゃ逃げられなくなる!」と思って、消火を諦めて逃げることとなりました。
初期消火方法の誤りにより家を失う
てんぷらなどの揚げ物を調理中に電話や来客などがあり、その場を離れてしまったことにより、揚げ物のことをすっかり忘れてしまう。その結果、油から火が出てしまうなんて言うのは【あるある】の火災原因となっています。
天ぷら油から出火した場合の対応は御存知でしょうか?
いくつか消火方法はありますが、もっとも手軽で昔からある方法としては下のとおりでしょう。
- まずは落ち着いて、ガステーブルのスイッチを切ります。
- 軽く絞った濡れたシーツ等の大きい布で全体を覆います。
これで消火することができます。他にも消火剤を使用する方法や、消火器を使っても当然消すことができます。
このケースでの消火方法はどうしたか。
火事に気が付いた時点では、鍋からは10~15センチ程度の火が上がっている状態であったので、まだ取っ手をもって鍋を移動することが出来る状態でした。
慌てたこの人がとった行動は、蓋つきのゴミ箱に鍋ごと突っ込んだんです。
その時点でゴミ箱の中には生ごみや紙などの可燃ごみが入っており、見事にてんぷら油の火が引火してしまいました。次に取った行動は燃えたゴミ箱の火を消すために、「ゴミ箱を蹴飛ばして踏みつける」でしたが、屋内で靴を履いていないので、素足やスリッパでは歯が立ちません。
天ぷら油から火が出た時点で慌ててしまい、ゴミ箱のゴミに引火した時点でさらに慌ててしまいました。燃えたゴミ箱をみてさらに慌ててしまう。
冷静に読んでいる人からすれば「そんなはずないでしょ」と思うかもしれませんが、死ぬかもしれない危機に直面した時に慌ててしまうと、どういう行動をとってしまうか分からないですね。
家の中で〇〇をして一部屋失う
〇〇に何が入るかというと、花火です。
家の中で花火をする人なんて居ないだろ!と思うかもしれませんが、意外と多くいます。
- 友達と花火をする約束をしていたけれど、雨が降ってしまった
- 花火がやりたいけれど、周辺に花火が出来る空き地や公園がない
- 少しだけ余った花火がもったいないが、外に出てやる程の量ではない
なんて理由がよく言われています。
室内で花火をする時点で変なのですが、そんな方々なので、当然消火用バケツなんてものは用意していません。終わった花火もそのままゴミ箱や灰皿にポイです。
このケースでは、室内で花火をし、使用済みの花火をゴミ箱に入れた結果、案の定ゴミ箱に火が付き自力で消すことが出来ない状態になりました。
寒い日の朝に車が全焼
雪が降るのは年に数回、積もるのは年に1回くらいなんて地域に住んでいる人にとっては、路面凍結は災害みたいなものです。
大通りまで出てしまえば、路面の雪は完全に溶けているため、ノーマルタイヤで走行可能です。家の前から大通りまでの数十メートルさえ乗り切れば、車に乗ることができます。幸い天気もいいため、数時間もすれば日が昇って日向になり雪は解けるでしょうが、それでは仕事に遅刻してしまいます。スタッドレスタイヤかタイヤチェーンがあれば・・・とはいっても、雪とあまり縁のない地域の人は持っていない人が多いです。
除雪用のスコップも融雪剤もありません。お湯をかけようにも、時間がかかりそうです。
あるのはキャンプで使うガストーチだけ。簡易的なガスバーナーです。
家の前の凍結した雪をガスバーナーで煽っていきます。雪国の人にとっては当然のことですが、凍結した道路をガスバーナーで煽っても無力です。水やお湯、砂や塩なんかを蒔いた方が早く融雪するか走行可能になる場合もあります。
そういったことを知らない人は、「雪はてごわいなぁー」なんて思ったのでしょう。しかし「ここでガストーチの利用を思いつくなんて、自分は賢いな!」なんて思ったりもしています。
少しずつバスバーナーで雪を溶かしていき、くるまの目の前まで溶かしていきます。
案の定です。
このケースでは、凍結した路面の雪を解かす目的でガスバーナーを使用していたところ、車のギリギリまで煽ってしまし、車のタイヤやバンパーなどの樹脂パーツに引火してしまったんです。
まとめ
今回はちょっと不思議?な理由により発生・拡大した火災の事例を紹介しました。
火災の多くは、「自分は大丈夫だろう」という思い込みが原因となります。
今回紹介した事例についても、すべて火を使っており、「自分に限っては、火の取り扱いを間違えるはずがない」という思い込みから発生したと言えるでしょう。
- 灯りのために火を使っても、その火を間違って他に付けてしまうなんてことはしない。
- 揚げ物中にその場を離れたとしても、揚げ物のことを忘れることなんて絶対に無いし、多少の火に驚くことなんてないとい。
- 部屋で煙草も吸うし、花火はその延長、まぁ問題ないでしょう。
- 氷の対極にあるのは炎であり、凍結した路面の雪を解かすのは炎がいいに決まっている。自分に限って火の取り扱いを間違うはずがないし、自分の財産である車を燃やしてしまうなんて馬鹿な事をするはずがない。
こんな風に思っています。
やはり思い込みや過信は危険です。
次に火災、事故を起こすのは自分かもしれないと常に意識することが大切です。
「今回は大丈夫だろう」とか「自分が火災を起こすはずがない」といった考えがそもそも間違っています。