厚木市消防本部が相模川での水難事故に備え、水中ドローンを活用した救命訓練を実施したとの報道がありました 。一見、最新技術の導入による救助活動の強化と受け取れますが、実際にはその効果は極めて限定的であり、消防庁や消防職員が個人的な実績を誇示するための施策と捉えざるを得ません。さらに、導入・維持にかかる経費は無駄であり、その資金を消火器の購入に充てた方が遥かに効果的であると言えます。
水中ドローン導入の背景と実態
厚木市消防本部は、水難事故現場での迅速な状況把握や要救助者の検索・救助を目的として、水中ドローンを整備し、2024年7月1日から運用を開始しています 。しかし、実際の運用状況を見ると、その効果には疑問が残ります。水中ドローンは最大稼働時間が4時間、水深200メートル、半径200メートルの範囲での稼働が可能とされていますが、相模川のような浅瀬で流れの速い河川での使用には適していない可能性があります。さらに、操作には専門的な技術と訓練が必要であり、全ての隊員が即座に活用できるわけではありません。
技術導入の目的と組織の自己満足
このような最新技術の導入は、表向きには市民の安全を守るためとされていますが、実際には消防庁や消防職員が個人的な実績を積み上げるための手段として利用されている側面が否めません。新しい機器の導入や訓練の実施は、組織のアピール材料となり、予算獲得や人事評価にも影響を与えるため、実際の効果よりも導入そのものが目的化している可能性があります。このような自己満足的な施策は、真に市民の安全を考えたものとは言い難いでしょう。
経費の無駄遣いと資源の再配分の必要性
水中ドローンの導入・維持には多額の経費がかかります。機体の購入費用、定期的なメンテナンス、操作訓練の実施など、継続的なコストが発生します。しかし、その効果が限定的である以上、これらの経費は無駄遣いと言わざるを得ません。むしろ、これらの資金をより実用的で効果的な装備、例えば消火器の購入や配備に充てることで、市民の安全を直接的に向上させることが可能です。消火器は火災初期の消火に非常に有効であり、多くの家庭や施設に設置することで、火災被害の軽減が期待できます。
組織の方向性と市民の安全への影響
消防組織がこのような非効率的な施策を続けることは、市民の安全に対する責任を果たしているとは言えません。最新技術の導入が必ずしも悪いわけではありませんが、その効果や実用性を十分に検証し、真に必要なものだけを採用する姿勢が求められます。組織の自己満足やアピールのための施策ではなく、市民の命と財産を守るという本来の使命に立ち返り、限られた資源を最も効果的に活用する方策を検討すべきです。
以上の点から、厚木市消防本部の水中ドローン導入は、その効果が極めて限定的であり、組織の自己満足的な側面が強い施策であると言わざるを得ません。導入・維持にかかる経費は無駄であり、より実用的な装備への投資が求められます。消防組織は、市民の安全を第一に考え、真に効果的な施策を実施する責任があります。