倉敷市消防局は12日、中学校の女性用トイレに侵入し、盗撮目的で小型カメラを設置したとして、建造物侵入罪と県迷惑行為防止条例違反罪で起訴された水島消防署(同市水島北幸町)の消防士男性被告(22)を休職の分限処分にしたと発表した。処分は同日付。
同局などによると、男性被告は6月23日夜、同市立中学校の女性用トイレに設置していた盗撮用小型カメラを回収するために侵入したとして倉敷署に現行犯逮捕され、7月14日に起訴された。
梶隆幸消防局長は「今後の処分は裁判の動向を見守りながら、厳正に対応したい」と話している。
引用元:山陽新聞
概要
6月23日 現行犯逮捕
7月14日 起訴
8月12日 分限休職処分
逮捕から起訴まではちょうど3週間、その約1箇月後に分限処分という時系列になっています。
逮捕起訴までの期間は法令に定められた期間内なので、当然問題はありませんね。
起訴から分限休職までの1箇月は適当なものなのでしょうか。
起訴休職
起訴休職とは、職員が刑事事件に起訴された際に発令される分限処分となっています。
職員が刑事事件に起訴されてしまうと、裁判所にて有罪無罪が決定するまでの期間は勤務を続けることは適切ではないと判断されることが一般的です。
刑事事件の場合には推定無罪の原則がありますが、円滑な裁判事務に協力することと、刑事事件に起訴されている職員が勤務を続けることによる公務への悪影響を勘案して、勤務は適切ではないと判断されます。
分限休職の処分がされた場合には、他の休職処分と同じように給料は一切支払われません。給料は支払われませんが、税金などの支払いが免除されるわけではないので、住民税や社会保険料、年金などは当然支払うこととなります。
逮捕されてから起訴されるまで3週間程度の期間がかかることから、職員が逮捕された場合でも起訴休職の発令や懲戒処分発令などに関する検討時間は十分すぎるほどあります。
1箇月後に分限処分
分限処分の対象となる事象から、実際に処分が下されるまでの期間が開くことは数多くあります。
例えば、事件⇒発覚⇒処分というように、発覚を挟んだ場合には期間が開くことになります。
今回のケースでは、発覚という期間こそないものの、逮捕⇒起訴という3週間もの期間を挟んでいることから、処分内容や対応方法について検討する期間は十分すぎるほどあったものと考えます。
そもそも、起訴休職に関しては絶対に発令しなければならないものではありません。
例えば、刑事事件に起訴されたものの、起訴そのものに関して消防本部などが納得しておらず、不服がある等を理由として、通常の勤務を継続させることを選択する場合も無くなないです。
この場合には、年次有給休暇の承認、職務専念義務免除の承認、欠勤の承認などにより休ませることも可能となります。
上記のような理由がないのであれば、起訴の事実を認識した時点で直ちに分限処分を発令して、起訴休職処分とするのが一般的です。
今回のように不思議な1箇月という期間があり、結局起訴休職処分が発令されたというのは、消防本部として「ちょっとだけ逮捕起訴に不満はあるけれど、市民のみなさんが不満だというから、仕方なく起訴休職処分発令しましたよ。はい。いいですか?」とかいうことなのでしょうか。
行政の政策や公共事業に関する決定に関するスピードは民間と比較して非常に遅いものですが、法令で決まりきった手続きについては超高速スピードで対応することが市民からの信頼を得るための最低条件だと思います。